RIZINマッチメイク担当のチャーリーが対戦カードの見所を紹介!選手のバッグボーンやストロングポイントを把握すれば、試合観戦がもっと楽しくなる!観戦前に是非チェックしておこう!
試合順
第11試合/ホベルト・サトシ・ソウザ vs. ルイス・グスタボ
ライト級タイトルマッチ
RIZIN MMAルール:5分3R(71.0kg)
ホベルト・サトシ・ソウザ vs. ルイス・グスタボ
柔術 | サブミッション | グラウンドコントロール | 試合決定率
総合力 | 決着率 | ハングリー精神 | サブミッション
見所解説
RIZINライト級タイトルマッチ。防衛戦に臨むサトシはブラジリアン柔術を武器に94%という驚異的なフィニッシュ率を誇る絶対王者になりつつある。挑戦者のグスタボは荒々しい打撃で相手の飲み込むような試合をするフィニッシュ率86%を誇るハードヒッター。ベラトール勢との戦いを経て格闘家として高い授業料を払ったRIZINライト級王者は、前回の試合でその成長ぶりを披露し見るものを驚愕させた。グスタボは怪我に悩まされながらも与えられた試合を一つ一つ勝ち続け8年目にしてついに念願のタイトルマッチに辿り着き、モチベーションは高い。
グラップラー vs ストライカーの構図となるこの一戦は自分の土俵でアドバンテージを取る事はもちろん、相手の土俵でどこまで戦えるかが勝負の流れを大き変える。王者のサトシは誰もが認める世界トップクラスの寝技スキルを持っていながら打撃でのフィニッシュが多く、グスタボの土俵で戦える事を証明している。対するグスタボは圧倒的な打撃の圧で相手を飲み込むような展開でのフィニッシュが多く、寝技での攻防がまだ見られていない。グスタボがサトシの寝技にどれだけ対応できるのか、王者の土俵になった時にどれだけ戦えるのかがこの勝負の鍵になってくる。家族愛に溢れ、亡き父に勝利報告を捧げるのはどちらの心優しき戦士か。
第10試合/井上直樹 vs. キム・スーチョル
見所解説
波乱続きで王者不在となったRIZINバンタム級の新王者を決める戦いが、日本の井上と韓国キム・スーチョルとの間で行われる。両者共に世界を知る実力者であり総合力も高く井上はスピードとテクニックを、スーチョルはスタミナと突進力を突出した武器として使用する。井上はスタミナと突進力に攻略されている過去があり、その敗戦から何を学びどのように修正してきたのかが勝負の展開を決める一つの要素になる。スーチョルは過去に日本人10人と対戦して全て勝ってきた正真正銘の日本人キラーだ。スタンドの展開としてはスピードと打的で上回る井上をスーチョルが追いかけ、グラウンドの展開では両者極めを狙うスタイルが故に起こる激しいスクランブル、攻防が目まぐるしく入れ替わる動きの多い展開になる事を期待したい。
勝負の鍵はスタミナ配分か。スタンドでもグラウンドでも動きが多く、体力を消耗する試合内容になる事が予想され、常に全力で動いていると最後まで動き続けられない為、緩急をつけながら効率の良い燃料の使い方が必要になる。共に総合力が高いが故に必然的に消耗戦になる、そのためのスタミナ配分。RIZINで数々おこなわれてきたタイトルマッチの中でも随一、MMAとしての完成度が高い一戦に期待したい。様々な世界的実力者の腰に巻かれてきたバンタム級のベルトが次に主人と認めるのは日韓どちらの雄か。
第9試合/元谷友貴 vs. 太田忍
見所解説
RIZINバンタム級の一戦。2年の時を経たリマッチとなるが、初戦は元谷が総合力を活かし太田を全局面で上回って判定勝利した。その試合から太田は6戦して5勝1敗しており、元フェザー級王者との試合、そして海外デビュー戦で白星を飾るなど実績を残し勢いに乗っている。元谷も同じく6戦して4勝2敗(RIZINでは2勝2敗)という好戦績を残している。
そんな両者がぶつかるこの再戦の鍵は太田の成長度合いになる。すでにスタイルを確立している元谷は技の精度を上げていく作業を行い、荒削りな太田は広い範囲で能力を上げていく作業をしている。互いの成長の速度の答え合わせがこの一戦で行われる。太田がどれだけ武器を増やしたか、元谷が太田スタイル攻略法を完遂するのか、非常に興味深い。RIZIN旗揚げから参戦し続けているゲートキーパーが、一度追い払った粘着質なオリンピアンを再び迎え撃つ事になる。一度やっている分、互いの手の内を知っており対策もバッチリだろう。試合内容もそうだが名伯楽同士によるセコンド力にも注目が集まる。RIZINバンタム級に大きな動きがあるのか、それともヒエラルキーは変わらないのか。前回の試合を予習した上でこの試合に備えたい。
第8試合/フアン・アーチュレッタ vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
RIZIN MMAルール:5分3R(66.0kg)
フアン・アーチュレッタ vs. ラジャブアリ・シェイドゥラエフ
フィジカル|スタミナ|総合力|プレッシャー
レスリング|フィジカル|グランドコントロール
見所解説
混沌のRIZINフェザー級で本格派外国人選手同士による潰し合いの一戦。元バンタム級王者のアーチュレッタがレコード記録更新の新鋭シェイドゥラエフを迎え撃つ形になる。アーチュレッタはフェザー級のデビュー戦を白星で飾れず勝利に飢えている中、属性が同じ若手に対してどの様な戦い方をするのか。両者共にグラップリングがストロングポイントで打撃による打ち合いもこなすオールラウンダー。属性が同じ選手たちによる勝負はその完成度と一つ一つの技術差でただ単にどちらが上回っているのか、小細工抜きに強い者が勝つという内容になる。経験の差、技術の差、スタミナの差など、ちょっとした差を見出しそこから相手を攻略していくMMAの魅力がたっぷりと詰まった試合内容に期待したい。
シェイドゥラエフに関してはまだ底が見えない部分があるが一つの着眼点はスタミナになる。アーチュレッタはハイペースな試合を15分間こなす姿をすでに見せてきたがシェイドゥラエフはどうなのか。運動量の多いスクランブルの展開が予想されるが果たしてアーチュレッタのペースについていく事はできるのか、ついていったとしても最後まで持つのか。完成されたスタイルと高いファイトIQを持つ元バンタム級王者に対してミスターパーフェクトはその完璧な記録を維持する事ができるのか。格闘技ファンならば絶対に見逃せない一戦だ。
第7試合/伊澤星花 vs. 浅倉カンナ
見所解説
RIZINスーパーアトム級の一戦。現役最強女王 vs 2017年GP女王による注目の一戦。同じリングに立つ同年齢ながら似て非なるものを体現している両者。2014年MMAデビューし2016年RIZINデビューした浅倉と、2020年MMAデビューし2021年RIZINデビューした伊澤。柔道の伊澤とレスリングの浅倉。制圧スタイルの浅倉に完全決着スタイルの伊澤。この一戦の後も世界を目指して歩み続けるであろう伊澤とこの一戦を最後にプロ活動を終える浅倉。1997年生まれの格闘家によって描かれるコントラストとヒューマンドラマが試合そのものに落とし込まれる事になる。
如実に変化してきている判定基準を考慮すると浅倉は攻め続けなければならない。両者共にタックルを多用するがその先に何を用意しているのかが勝負の鍵になる。グラウンドの展開になった場合は目まぐるしいスクランブルの展開に期待する反面、伊澤が寝技を否定して浅倉に対して打撃戦を強要する可能性も考えられる。向上する意思と出し切る意思のぶつかり合いはどのような結末を迎えるのか。RIZINの一時代を築き支えた者とそれを受け継ぐ者による戦いは大きな意味を持ち、ファン、選手、関係者などRIZINに関わる者に多くの感動を与えてくれるだろう。
第6試合/牛久絢太郎 vs. 佐藤将光
見所解説
バンタム級の一戦。元フェザー級王者の牛久と職人・佐藤が交わる実に渋いマッチアップ。両者共に合理的に戦える実力と実績を備え、牛久はプロ30戦、佐藤は50戦以上戦ってきた経験値を持つ。このようなマッチアップは個々の武器をいつどこでいかに効率よく使うかという事前の戦略と試合中の対応力が流れの鍵を握る事となる。すなわちファイトIQの差が試合展開に大きく関わってくる。
フィジカルとパワーは牛久、引き出しとキレは佐藤。リング上のチェスマッチの様な試合展開が予想される。序盤の探り合い、差し合い、食い合い、際の攻防からデータを収集して作戦を修正→先にデータをインプット入力した方が仕掛ける流れになる。瞬発力より総合力での戦いになる為、各ラウンドにおける攻防の変化を楽しみたい。牛久はタイミングを見極め単発で流れを変えるスタイルが印象に残るが距離感と手数で勝負してくる佐藤のスピードについていくことができるのか。牛久は合理的な動きをする佐藤の精密機械をどのように狂わせていくのか、牛久の想定外の動きと作戦が一つのポイントになる可能性がある。王者不在のRIZINバンタム級戦線は新たなチャプターに突入する。そこの主要選手としての立場を手に入れるのはどっちのベテランか。
第5試合/矢地祐介 vs. 宇佐美正パトリック
見所解説
RIZINライト級の一戦。グラップラー対ストライカーのマッチアップ。RIZIN18戦目の矢地がRIZIN MMA5戦目の新鋭宇佐美を迎え撃つ形となるこの一戦。矢地はストライカーとしてRIZINに上がり、経験を積む間にオールラウンダー→グラップラーへとスタイルチェンジしてきた。対する宇佐美はストライカーとしてRIZINに上がり、その勝利は全てKOで終わらせてきた。経験を経てグラップラーへと変貌した矢地は経験の浅いストライカー宇佐美にMMAの奥深さを教えるべく、すべてのストライカーの課題であるグラップリングで勝負を仕掛けたい。宇佐美が総合格闘家としてどこまで成長してきているのか判断する試験ともいえるマッチアップだ。
勝負の鍵は矢地がどのように宇佐美を触るのか。宇佐美は直近の試合で経験豊富なオールラウンダー相手にテイクダウンを一度もされずに打撃で倒している。総合力で勝負する選手はエントリーがワンパターンになるとジリ貧になる傾向があり、矢地がどのような作戦を立ててくるのかが興味深い。
RIZINライト級の新しい顔になりたい宇佐美と新鋭を攻略して世界に打って出たい矢地によるRIZINライト級ポジション争いから目が話せない。
第4試合/萩原京平 vs. 高木凌
見所解説
共に打撃でのフィニッシュ率が70%を超えるRIZINフェザー級ストライカー同士による一戦。プロ7年目、16戦を経てMMAの壁にぶつかっている28歳萩原と、プロデビューしてから3年目で9戦、勢いに乗る24歳の高木。アグレッシブな打撃を武器に持つストライカー同士の拳の交錯は見る者が息を飲むような緊張感を生み出す。RIZINに上がってからスポットライトの元、茨の道を歩み続けてきた萩原は戦績に関わらず確実にMMA選手としての経験値を積み、成長の足跡を刻んでいる。高木はRIZINデビュー戦で強豪外国人に一進一退の攻防を繰り広げ、判定負けを喫するもその能力の高さを見せ、2戦目ではトレードマークの右ストレートで豪快なKOを演出し存在感を誇示した。
勝負の鍵は高木のアプローチにある。萩原の打撃は誰もが認める殺傷能力を持つ反面、寝技の穴が大きく、過去の対戦相手は例外なくその穴を狙ってきている。萩原自身もその課題に取り組んできており、その結果が直近の試合で見えてきている。寝技のベースが強化されつつある危険なストライカー相手に、打撃に絶対の自信を持つ若手がどんな選択肢を取るのか。相手の弱いところで勝つのか、相手の強いところで勝つのか。格闘家心理をくすぐる一戦ここにあり。
第3試合/金太郎 vs. 秋元強真
見所解説
バンタム級の一戦。RIZIN9戦目を迎える金太郎はより高みを目指しATTに所属先を移してからスタイルチェンジ遂行中のベテラン選手。対する秋元はプロデビューしてから2年足らずでRIZINの舞台に上がってきた齢18歳の新星で実力も申し分ない。共に高いフィニッシュ率を誇り打撃を得意としている。金太郎は破壊力抜群の打撃を操りその武器を見せながら総合的に戦うスタイルなのに対し、秋元は長身から繰り出される的確でシャープな打撃を持つセンスの塊。相性的に前に出た方が展開を作る事が予想され、主導権を握った方が超有利な状況となる。
勝負の鍵はどちらがより濃いMMAをするのかになる。打撃だけでなくMMAにおける様々な武器や策を効率よく戦える者が有利になるが、その点で見ると経験値で金太郎に分があるか。ただし秋元の類稀なる打撃センスが金太郎の持つ他の武器を凌駕する可能性を考えると、非常に興味深いマッチアップだ。
長いトンネルを抜けようやく光が見えた、絶対に負けられない状況の格闘技の酸いも甘いも知るベテランが、飛ぶ鳥も落とす勢いで台頭してきた怖いもの知らずの新星にこの世界の厳しさを教える事ができるのか、それとも勢い止まらぬ18歳がその勢いのまま一気に障壁を乗り越えていくのか。
第2試合/新井丈 vs. エンカジムーロ・ズールー
RIZIN MMAルール:5分 3R(57.0kg)
新井丈 vs. エンカジムーロ・ズールー
総合力|打撃|精神力|スタミナ
打撃|アグレッシブ|キレ|爆発力
見所解説
RIZINフライ級の一戦。日本の修斗と南アフリカのEFC2階級王者同士による超ハイスペックなマッチアップ。新井はフィニッシュ率が77%、そしてズールーが93%と糖度がとてつもなく高いストライカー同士によるこの一戦は、意地とプライドの正面衝突が予想される。両者共に前進する事により活路を見出すアグレッシブなスタイルで、芯に効かせる新井の打撃と、しなる様にキレるズールーの打撃の交錯は見るものを引きつけ魅了する事間違いなし。
勝負の鍵はインサイドワークになる。身長とリーチで劣る新井は近づかないと勝負ができない。ズールーはリーチを活かして遠距離からの攻撃もできるが彼の最大の持ち味は距離を詰めてからの連打にあり、新井と同じ距離を主戦場としている為、互いの勝負できる距離をどっちが制するのか、この陣地争いが非常に大切になってくる。パンチ主体の新井に対して蹴りも混ぜてくるズールーの武器の種類が勝負をどのように左右するのか。
団体を背負うものとして、自分のスタイルとして絶対に引けない王者たちの魂のぶつけ合いを目に焼き付けたい。MMA最速の階級におけるフィニッシャー同士の試合は見るものを感情のジェットコースターに誘う。
第1試合/カルシャガ・ダウトベック vs. 木下カラテ
RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
カルシャガ・ダウトベック vs. 木下カラテ
ボクシング力|左パンチ|アグレッシブ|当て勘
打撃技術|空手|間合い
見所解説
RIZINフェザー級の一戦。待望論が多くRIZIN凱旋試合ではファンの要望に応えるかのような戦慄のKO劇を演じたダウトベック。RIZIN3度目の相手は打撃を持ち味にしている木下だ。木下はRIZINデビュー戦を落としてから3連勝を挙げ再びRIZINのリングに立つ空手ベースのストライカー。両者共にストライカーながらその戦い方は異なる。ダウトベックの左は93%を誇るフィニッシュ率に多大なる貢献をしている一撃必殺の拳。対する木下はフィニッシュ率89%を誇るも勝ち方のバリエーションが豊富だ。左のダウトベック対全身凶器の木下。
勝負の鍵は両者の距離になる。木下は空手の前後のステップは読み辛く、ダウトベックの距離設定も一級品。両者共に自身の武器の距離を熟知している証拠だ。大砲を放つ前にまずは土台作りの勝負が行われる。距離設定を先に確保したものから大砲を打ちはじめ後手に回った者が応戦する展開になりつつ、超インファイトでも目が良い両者の撃ち合いは緊張感あふれる事間違いなし。ダウトベックは1RのKOが13、木下は7つあり先に当てた者が勝利する事になる可能性も高い。1ラウンド要注目のこの1戦に勝利した選手は間違いなく混沌のフェザー級タイトル戦線に躍り出る事になる。