RIZIN.17の見所をRIZINマッチメイク担当の「チャーリー」が徹底解説!選手のバッグボーンやストロングポイントを抑えれば、試合観戦がもっと楽しくなる!観戦前にチェックしよう!
矢地祐介 VS. 朝倉未来
打撃を得意とする者同士だが、その打撃スタイルは違う。運動神経と反射神経、そして当て感など、天性の感覚を駆使して流れの中で戦う野生的な矢地選手に対し、無駄のない動きで効率よく打撃を当てながら試合を作っていくクレバーな朝倉選手。フィジカルでは体格の大きい矢地選手有利か。
互いが絶対に負けたくないという感情を持つ事は大切だが、カウンターストライカー同士という事もあり、負けない為の消極的な試合展開になる可能性もある。日本人同士の戦い、ライバルとしての試合、次のステップに繋げる為の試合だからこそ「負けない」試合ではなく「勝つ」為の試合が出来るかどうかで次の時代が見えてくる一戦となる。
石渡伸太郎 VS. 佐々木憂流迦
「俺の喧嘩を買ってください」「ああいう舐めたやつが出てこないように頑張ります」というやり取りが行われた時、石渡選手はパンクラスのバンタム級王者になったばっかりで、憂流迦選手は修斗/VTJで8連勝中だったが、歯車がかみ合わず結局試合は組まれなかった。あれから5年5か月。その間、石渡選手は国内に留まり、憂流迦選手は世界に出た。この期間でどちらの選択が正しかったのか、どちらがより強くなったのか、ついにその答えが出る。
バックコントロールとバックチョークが代名詞の憂流迦選手だが、全てはタックルを決めてから。石渡選手は腰が重く、タックルを裁く技術が非常に優れている。もし憂流迦選手が思うようなグラウンドの展開に持込めなければ、必然的にスタンドでの打撃勝負となる。石渡選手のボクシング技術とパワーは秀でており、憂流迦選手は身長とリーチのアドバンテージがある。試合のポイントはやはり憂流迦選手がテイクダウンを取れるか、またどれだけ労力をかけずに出来るか。石渡選手はテイクダウンされてから立てるのか、またどれだけ早く立てるか。この攻防の競り方で試合の流れが大きく決まる試合展開になるだろう。
元谷友貴 VS. 扇久保博正
もともとフライ級(57kg)で活躍していた両選手がバンタム級(61kg)で激突する。総合的なレベルが非常に高く、何でも出来て、どのポジションでも戦える両者。元谷選手の打撃はコンパクトで切れ味鋭く、扇久保選手は重く芯に効くイメージ。寝技においてはトップをキープして上から試合を組み立てていく扇久保選手と、上からでも下からでも積極的に技を繰り出していく元谷選手。
両者ともに戦績が豊富でファイトIQが高く、ハイペースで15分戦い抜けるスタミナを持っているが、戦い方を比べると元谷選手の方がスタミナが豊富か。これだけ実力が拮抗している場合、最初のキーポイントはどちらが打撃の展開でアドバンテージを取るか。ある程度打撃での力関係が確立されたら、そこから「これぞ総合格闘技」という試合展開になるので、そうなった時のポイントは「際」。流れの際をより多く制した者が、勝利に近づく。
イヴァン・シュトルコフ VS. キム・フン
イヴァン・シュトルコフ
フィジカル | 打撃パワー | グラウンドコントロール | 爆発力
キム・フン
経験 | 当て勘 | 総合力 | 精神力
圧倒的なパワーを誇るイヴァン選手に対し、スピードと角度で勝負をしていきたいキム選手。イヴァン選手は見た目よりも繊細なテクニックを持っており、当て勘が抜群に良い。打撃からのテイクダウンで試合の変化を付ける事ができるオールラウンダーだ。
キム選手はこのパワーゲームに流されず、スピードを生かして角度を付けた攻撃を仕掛けたい。重量級の試合だが、動くが多くリングを広く使った試合展開が予想される。両者スタミナの部分に若干不安要素があるが、スタミナが切れる前に試合を決めに行く迫力のあるハイペースな試合に期待したい。
大雅 VS. 町田光
普段交わる事のない両者。キャリアもファイトスタイルも両極端の選手が向き合うRIZIN特有のマッチアップ。エリート街道を突き進んできた大雅選手は最近結果が出せていない。一方で与えられた機会を物にし続け、RIZINへの出場までこぎつけた町田選手。
独創性溢れるファイトスタイルと、相手に息をつかせない手数とプレッシャーをかけてくる町田選手に対し、大雅選手がどのように戦うか。試合が行われる間合いと試合のペースが大きなポイントになる。大雅選手はまさに崖っぷちの一戦。町田選手にとってはまたとない千載一遇のチャンス。試合に臨む経緯も姿勢も両極端の二人がどのような化学反応を見せるのか。
北岡悟 VS. ジョニー・ケース
勝敗に関わらずRIZIN名勝負製造機となった北岡選手のライト級GPサバイバルマッチ最終戦の相手は、昨年末に矢地祐介選手を完封してTKO勝利を収めたジョニー・ケース選手。打撃技術のレベルが高く、破壊力もある。グラウンドでの攻防もしっかりとできるケース選手を、北岡選手がどう攻略するか。
打撃の攻防だとケース選手、寝技での引き出しの数では北岡選手。勝利している7割がKO/TKOのケース選手に対し、北岡選手は決着勝利している10割が一本勝ちと、両者共に勝ち方が徹底しているため、自分の得意の状態に持ち込んだら一瞬で試合が終わる可能性がある展開が続くだろう。両者共に経験と技術、そして勝利への執着心を全て出す試合になるが、その晩、単純に強い方が勝つ。
川尻達也 VS. アリ・アブドゥルカリコフ
川尻達也
経験 | グラウンドコントロール | / パウンド | フィジカル | 覚悟
アリ・アブドゥルカリコフ
打撃 | 打撃スピード | 当て勘 | パウンド | 総合力
川尻選手はライト級に戻してからの2戦目となり、身体が階級に慣れた状態での試合となる。プロ格闘家として19年、これまで50試合以上してきた川尻選手が、今年のRIZINライト級GPにかける想いは我々には想像もつかない。それを迎え撃つアリ・アブドゥルカリコフ選手は、ロシア出身で散打をバックボーンにもつ無敗の25歳。
アリ選手は決してバキバキの身体ではないものの、繰り出す打撃にはしなりがあり、インパクト時にしっかりパワーを伝える事ができる。打撃が得意だが、グラウンドもしっかりこなせるオールラウンダーでもある。経験、フィジカルと試合運びでは川尻選手が有利。リーチと打撃、爆発力はアリ・アブドゥルカリコフか。川尻選手がこの新しい世代の選手に対してどのような戦いをするのかで勝負の命運が分かれるだろう。
ホベルト・サトシ・ソウザ VS. 廣田瑞人
ホベルト・サトシ・ソウザ
柔術 | サブミッション | グラウンドコントロール | 試合決定率
廣田瑞人
総合力 | 経験 | パワー | RIZIN ルール
サトシ選手は2019年4月の北岡戦に続き、日本人ライト級の最前線で戦い続けてきた廣田選手と対戦する。廣田選手は総合力が高く、一つ一つの動きにパワーを感じさせる選手だ。これまで一本勝ちは一つも無く、一本負けも1度のみ。立っても寝ても、拳で相手の意識を刈り取りに来るヘッドハンタータイプの廣田選手相手に、サトシ選手はどのように戦うのか。
RIZINデビュー戦で戦った北岡選手とはタイプが異なり、寝技のスクランブルはそこまで無いが、フィジカルが強く、上からの圧力も強い。打撃では廣田選手に一日の長がある。サトシ選手が総合格闘家としてどのような試合運びが出来るかの成長次第で試合展開が大きく変わってくるだろう。サトシ選手の総合格闘家としての成長に期待していなければ組めないマッチメイクと言っても良いほど、廣田選手は屈強な選手だ。
ジェイク・ヒューン VS. ビタリー・シュメトフ
ジェイク・ヒューン
アグレッシブ | 好戦的 | パンチ力 | レスリング力
ビタリー・シュメトフ
情熱 | 忍耐力 | 企画力 | 実行力 | 営業力 | SNS
ついに「シュメトフ」のファイターとしての実力が明かされる。シュメトフ選手はキックボクシングを主体とする立ち技が得意な選手で、体重の乗った打撃を打ち込み、小回りの利く回転の速い連打を武器とするストライカーだ。ショーマンシップに溢れ、回転系の大技などを出す事もあるが、当たったのを見た事が無い。打撃勝負を好むジェイク選手とは相性ピッタリで、試合内容はとても激しく噛み合う事になるだろう。
レスリング力では圧倒的にジェイク選手に分があるが、打撃戦を好むため必要な時にしか駆使しない方針なのかもしれない。両者ともリング外のパフォーマンスに目がいきがちだが、この先RIZIN重量級の中心として出場し続けるのであれば、今回はリングの中でのパフォーマンスが重要になってくる。試合までの間に様々なアングルで楽しませ続けてくれるであろう両者だが、ここ一番の試合内容に期待したい。
ハム・ソヒ VS. 前澤智
ROAD FC王者とDEEP JEWELS王者の対戦。ハム選手はアトム級としては体格が大きく、パワーがズバ抜けて強い。前澤選手は、この体格とパワーの差をどの様に攻略するか。柔道がバックボーンの選手らしく、組み主体で試合を作っていく前澤選手に対し、リーチを活かしたジャブで遠くから距離を測りながら大砲の様な左を放ってくるハム選手。典型的なストライカー対グラップラーの試合展開になるだろう。
体格、パワー、そして経験で勝るハム選手を、前澤選手が如何に組みのテクニックで倒し、そこから活路を見出せるか。ハム選手は浜崎選手へのリベンジの為にも、この試合を落とす訳にはいかないだろう。前澤選手は持ち前の折れない心で、返り討ちを狙いたい。
KINGレイナ VS. ステファニー・エッガー
KINGレイナ
アグレッシブ | グラウンドコントロール | プロ意識
ステファニー・エッガー
グラウンドコントロール | 極めの強さ | フィジカル
柔道をバックボーンと持つ両者の対決。KINGレイナ選手はコンスタントに試合を重ねて成長した姿を見せたい所。ステファニー選手は柔道ヨーロッパ王者の肩書きに相応しい組みからの足技とトップコントロールを備えたファイターだ。
KINGレイナ選手が体重を落とし、ステファニー選手が上げて63kgでのキャッチウエイトの試合になる。それでも体格ではステファニーの方が大きく、フィジカルが強いだろう。KINGレイナ選手は気持ちの強さとKINGSMMAで磨いた打撃で勝負したい。両者しっかりとしたグラウンド力がある為、打撃力での差が勝負の決め手になる。
渡部太基 VS. Hideki
急遽対戦相手が変更となってしまった渡部選手は、パンチ力と当て勘、そして勝負所の嗅覚が秀でた選手で日本キック界の名勝負製造機。数々の死闘を経験してきている渡部選手の精神力は並大抵のものではなく「ここぞ」という場面で根性が出せる魅力的なファイターだ。代理参戦となったHideki選手は長いリーチを生かしたパンチャーで真ん中を打ち抜いてくるストレート系の打撃が非常に強い。勝負所ではラッシュで相手を詰めて真ん中に膝というパターンも持っている。
打ち合い必至のこの試合は、ジャブを打ちながら右クロスを狙ってくるHideki選手に対して渡部選手がじりじりと距離を詰め、強いフックから打ち合いの展開になるだろう。両者メンタルが強く、魂の削り合いの試合になるかもしれない。
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