ーーチャーリーさん、お疲れ様デーーーッス!!早速ですが、RIZIN.23の元谷選手と魚井フルスイング選手の試合を振り返りましょーーっ!!
お、お疲れ様です。あら、今日は何か展開が早いですね。良いんですけど。
ーーはいっ!前回大会の振り返りもたっくさーーーんやりたい気持ちはあるんですが、次回大会の対戦カードも決まってきたので、今回はサクサク行こうかなって思ってまっす!
そうですね、もう次の大会まで1ヶ月切っていますからね。じゃあ、早速振り返りをはじめますか。
第8試合/元谷友貴 vs. 魚井フルスイングを振り返る
音を消して見るとより分かる!魚井と元谷の攻防の構図
ーーさぁさぁ、早速チャーリーさんのポイントを教えて下さーーーーいっ!!
あ、この試合はとりあえず、音を消しましょうか。
ーーえええええーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!?
...え?
ーー「え?」じゃないですよぉ~、チャーリーさんっ!!ホントーに音を消して見るんですかっ??!
はい。魚井選手のセコンドの大沢ケンジさんの指示って、すごく耳に入ってくるじゃないですか。良いんですよ、あれはあれで。ただセコンドの声を聞くと、どうしてもそこが気になっちゃうじゃないですか。なので、この振り返りの時間はセコンドの声はいらないんです。なので消しましょう。(ピッ)
ーーあ~~~っ!!本当に消しちゃった~~っ!!
あのセコンドの声は、すごく良いんですよ。大沢さんの声は印象的なのでジャッジの耳にも入るんですよ。選手がその指示通りに動くとジャッジも心理的に「あ、指示通りやれてるんだ」と思っちゃいますしね。当然、大沢さんの策なんですけど。
ーーた、たしかに…っ!!それにしても、音を消した状態で試合を見ると…なんだか全然違う試合を見ているみたいですね~~。。
ほら。音を消したほうが二人の動きに集中できるでしょ?この状態で見ると特に分かりやすいんですが、魚井選手って自分の「暴風域」を持っているんですよ。
ーーボウフウイキ??...それって、台風の中心に近いあのエリアのことですかぁ~??
そうです。台風が破壊力を持っているエリアのことですね。魚井選手はまさにそれなんですよ。魚井選手の腕の長さ、リーチがまさに暴風域。
ーーへぇぇ~~~!魚井選手の暴風域って何ていうか…(小声で)ちょっと小さいんですね。
狭いですね。魚井選手、なかなかリーチがないんですよ。だから元谷選手は蹴りで攻めてます。
ーー暴風域が狭いから蹴り…??あっ、そっかぁーっ!!脚の方が長いから、元谷選手は蹴りで攻めるんですねっ!!
そうです。だから蹴りで攻める。これは元谷選手の作戦なんですけど、今回すごくガードを固めてるんですよ。あんな大振りのフルスイングはもらわないぞ、という心の現れだと思うんです。もちろん魚井選手のパンチが強力だということは意識していると思うんですよ。だから絶対にそのパンチをもらっちゃいけないと思っている。打ち合いはせずブロックして、攻撃は蹴りに徹する。
ーーたしかにっ!!元谷選手のガード、腕を上げてすっごーーーくガッチリしてますね~~っ!!
そう。それで、攻めに行くときはガードは上げて一気に暴風域の中、台風の目まで入って行くんです。そして離れ際は必ずガードを上げて離れる。これらは全て元谷選手の作戦ですね。そして元谷選手はこれを最初から最後まで遂行しているんです。
ーー最後までキッチリ遂行するところが、元谷選手っぽいですね~~!!ブレない男って感じですぅ~~!!くぅぅ~~っ!!
逆に魚井選手は元谷選手が蹴り主体で攻めてくることを分かっているので、蹴りに合わせてカウンターに行きたいんですよ。
ーーあーーーっ!そう言えば、セコンドの大沢さんはずーーーっと魚井選手に対して「蹴りくるぞ!」って言ってましたねっ!!魚井陣営もそれは分かってたんですね~~!!
今までの説明でなんとなくわかったと思いますけど、これがこの試合の構図なんです。魚井フルスイングという台風がフルスイングを放って暴風域を作るんですが、元谷選手はその暴風域に入りたくない。入る時は徹底的にガードを上げて、相手の暴風域の外から蹴りで攻める。魚井選手はその蹴りに合わせてカウンターを打つ。と、こういう構図なわけです。この構図がずっと続くんですよ、最後まで。
こう考えると、面白くないですか?
ーーおおおーーーーっ!なるほど、たしかに~~っ!!
魚井選手の試合は、大沢さんのセコンドの声が聞こえない方が見やすいですね。あの声を聞くとどうしてもそこが気になっちゃうから。
ーー魚井選手よりも大沢さんの声のほうが目立つ場面ありましたからね~っ!!セコンドの声に対して観客から拍手が起こっていたくらいですもんねっ!
魚井選手の試合での大沢さんのセコンドは、もはや名物になりつつありますね。
攻防の構図を崩す!元谷が起こした変化
ーーチャーリーさんに構図の話を教えてもらってから試合を見ると、本っ当~にその構図の通り試合が進んでいるのが良~~く分かりますね!!
構図の仕組みがわかったら、次はこの構図がどうやって壊れていくのかを見ると面白いですよ。
ーーこ、構図が壊れる…!!?
試合の中でこの構図が長いこと続くんですが、ある瞬間に魚井選手がミスをしてしまうんです。そこを見逃さなかった元谷選手が一気に仕留めに掛かる。そんな試合でしたね。そういう風に見ていると本当に面白いんですよ。あと、この試合にはもう一つポイントがあるんですよ。
ーーも、もう一つのポイント…?!!ゴクリ…。
元谷選手は手を出さずに魚井選手をコーナーに追い込んでいるんですよ。これがなかなか凄いんです。
ーーたしかに…攻める時は基本、蹴りで攻めていますもんねぇ~。蹴りか、もしくはプレッシャーで魚井選手をコーナーに追い込んでるって言うことですかぁ~~???
そうです。元谷選手がどんどん前に出て、相手の行き場を塞いでいるんですよ。気がつけば相手がコーナーに詰まっているじゃないですか。でも魚井選手の暴風域には入っていないんです。暴風域のちょっと外にいるんですよ。だから魚井選手がアッパーを放とうが何を放とうが当たらないんです。
ーー本当だ~~っ!!コーナーの魚井選手のパンチは元谷選手に全っ然当たらないですね~~っ!!
元谷選手の蹴りは当たるけど、魚井選手のパンチは当たらない。魚井選手はコーナーに詰まるのが嫌だから、離れろと大振りするんですが、元谷選手はガードを上げて絶対に当たらないようにしている。
お互いのやりたいことが分かっていて試合を見ると面白いですよね。魚井陣営は元谷選手の蹴りに合わせて強振したい。大沢さんもさんざん叫んでいましたからね「蹴りに合わせて行け!」と。元谷選手はそれが分かっているから、ガードをガッチリ上げて、相手をコーナーに詰めたところで倒したい。相手を倒してから自分のやりたいこと、得意の寝技に持ち込みたい、そういう魂胆ですよね。
ーーああーーーっ!そっか~~~!!この構図の話に夢中ですっっかり忘れちゃってましたが、元谷選手は得意の寝技に持ち込みたかったんですね~っ!!
そうですよ。そのために元谷選手がこれまでの動きに変化を与えるんです。2R目、元谷選手は蹴りと見せかけて膝を打つんです。蹴りのモーションから膝。これがモロに入るんです。今までの構図の中で一度も見せたことがない動きですね。
ーーわわわーーーーーっ!!元谷選手の膝蹴りが見事、魚井選手の顔面にヒットしました~~~っ!!
きっとこれは今までの構図の中で「これをやろう」と決めていたわけではないと思うんですよ。魚井選手がパンチを出して頭を下げたところにちょうど膝を出した。これは闘いの中で咄嗟の判断で放った膝蹴りだと思うんですよ。これが元谷選手の凄いところですよね。まぁ、あんまり体重が乗っていなかったのでどっちかと言うとタイミングで倒れた感じと思うんですけどね。でもインパクトありましたよね。
ーーこの膝蹴り、すっっっごーーーーーくインパクトありまくりでしたっ!!思わず「ナイスッ!!」って叫んじゃいそうでしたよ~~っ!!
そして魚井選手が倒れた後、蹴って殴って、踏みつけにも行こうとするし、本当に元谷選手はいろいろな引き出しを持っていますよ。良い選手ですよね。
ーーっぷは~~~っ!!ここで2R終了のゴング…っ!!音のない試合映像でもこんなにドキドキハラハラするもんなんですね~~っ!!
音がない方が選手の動きが際立って見えるので分かりやすいですよね。さて2Rが終わりましたが、この時点で元谷選手が試合を握っていますよね。魚井選手はどうしても「待ち」になっちゃっていますから。蹴りを待ち過ぎちゃった感じですね。もっと行けば良いんですけどね。
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