RIZIN.19 大阪大会の見所をRIZINマッチメイク担当の「チャーリー」が徹底解説!選手のバッグボーンやストロングポイントを把握すれば、試合観戦がもっと楽しくなる!観戦前にチェックしよう!
第13試合/イリー・プロハースカ VS. ファビオ・マルドナド
イリー・プロハースカ
決定率 | 体力 | アグレッシブネス | 当て勘 | 2015年決勝戦後8戦全勝
ファビオ・マルドナド
打撃 | ボクシング力 | 打撃パワー | 経験
RIZINライトヘビー級王者のイリーの次なる相手はプロボクサーでもありプロMMAファイターのファビオ・マルドナド。マルドナドは卓越したボクシング技術を兼ねそろえた超強力パンチャーだ。記憶に新しいのは皇帝ヒョードルをKO寸前まで追い込んだ試合で、あの試合もものすごい圧力で飛び組んでくるヒョードルにショート右フック、返しの左フックでダウンを奪った超高等技術と精神力の持ち主。イリー選手も決して迂闊に飛び込めないだろう。
パンチの精度と技術では間違いなくマルドナドが数段上だが、総合力と体力においてはイリーが上。様々なフェイントを織り交ぜながら圧力をかけていくイリーに対して、ガードを上げてじっと待ち構えるマルドナドの構図になるだろう。その両者が作り出す緊迫感はものすごく、ファーストコンタクトから手に汗握る展開になりそうだ。マルドナドは非常にハートが強く、相手がラッシュを仕掛けてきている際にもカウンターを狙ったりするので、どんな状況からもKOを狙いに来る好戦的なファイターなので目が離せない。
第12試合/朝倉海 vs. 佐々木憂流迦
今年4月に行われるはずだった二人の戦いが大阪で実現する。この試合が流れてしまってからバンタム級の情勢は大きく変わり、互いの立ち位置も大きく変わった。追う者が追われる立場になり、追われる者が追う立場になった。この試合での勝ち負けが今後の両者の方向を大きく変える一戦となる為、互いに絶対に負けられない戦いとなるだろう。
ストライカー VS. グラップラーという構図になるが、今回は互いにじっくり分析する時間も無い中で格闘家としての自力の部分が大きく勝敗を左右する。海は重い腰を活かしてスタンドの状態で勝負がしたく、憂流迦はテイクダウンして得意のバックチョークを狙っていきたい。勝負の鍵はズバリ、憂流迦が海をテイクダウンできるかどうか。互いにやりたい事が分かっている中で自分の戦法をどのように執行していくのか、その過程に注目だ。
第11試合/ハム・ソヒ VS. 山本美憂
RIZIN女子ス―パーアトム級タイトル次期挑戦権を決める一戦。ハム・ソヒは文句なしに強く、打倒極とフィジカル全てを備えている選手だ。その実力はRIZIN.17に出場した際に証明されており、世界のアトム級の誰とやっても脅威となりうる存在。対する山本美憂は、デビュー後こそ負けが続いたものの、自分のスタイルを確立してからは盤石な試合展開で4連勝を飾っており、急激な成長を見せている。
山本の打撃も目を見張るものがあるが、ハムとのリーチ差とジャブの上手さをどのように攻略するかが鍵となる。タックルに行くにしろ、ハムは抜群の距離感を持っているので、迂闊に入るとヒザと左の大砲が待っている。山本はそこを攻略してから初めてストロングポイントであるグラウンドの展開ができる。立たれてしまったらその作業をまた行わなければならず、大変苦しい試合展開になるだろう。ハムは自分のペースを持っているものの、相手に合わせてしまう癖もある為、そこをうまく利用したペース配分、試合運びを仕掛ければ試合が動くかもしれない。山本がどのように仕掛けていくのか注目。
第10試合/RENA VS. ショーナ・ラム
RENAが4か月ぶりの復帰戦に臨む。相手はカナダの強豪で、日本で一時代を築いたブラックマンバの愛弟子ショーナ・ラム。ラムは精度が高く、重い打撃を駆使して前に出てくる気の強いストライカーでありながら、柔術茶帯を持つトータルファイター。過去にRIZINで対戦してきた中では最高の打撃技術を持つラムと「原点回帰」をテーマにあげたRENAがどのような打ち合いを見せてくれるのか、ファーストコンタクトから目が離せない。
グラウンドの展開になった場合、ラムは柔術茶帯の実力をフルに発揮できるか、RIZINルールをフル活用してくるRENAの攻撃を凌げるか。RENAとしては絶対に負けられない地元での復帰戦となり、試合情報の少ない強豪選手と試合をするプレッシャーがある。ラムは師匠のブラックマンバと同じく日本で、日本のスターに勝利して自分の名前と実力を世界に示すモチベーションがある。試合中の技術の応酬もそうだが、試合に臨む両選手の心理状況も含めて見るとより面白い試合になる。
≫ RIZIN.19 第10試合/対戦カード変更 RENAの対戦相手変更のお知らせ
第9試合/ジョニー・ケース VS. ホベルト・サトシ・ソウザ
ジョニー・ケース
総合力 | 打撃 | 試合運び | 爆発力
ホベルト・サトシ・ソウザ
柔術 | サブミッション | グラウンドコントロール | 試合決定率
柔術界の至宝と言われているMMA無敗のサトシは現在RIZIN2連勝中。しかも両試合KO勝ちで、未だ柔術の技を披露しないままでグランプリ参戦を果たす。対するケースも現在RIZINで2連続TKO勝ちを収めている。優勝候補同士の対決と言われている一戦だが、間違いなくレベルの高い試合が見られるだろう。打撃とレスリング、そしてMMAの場数で言えばケースに一日の長がある。今回こそサトシは自分が唯一勝っている柔術力を披露せざるを得ない試合展開になるだろう。
ケースのタックルに対する反応はとても早いので、サトシはクリンチしてからグラウンドに持ちこもうとする可能性が高いか。ただ、そのクリンチに持っていく事が難しいだろう。ケースはジャブやストレート系のパンチが上手く、懐が深い。また、グラウンドの展開になってからも手を休めない。サトシは確実に頭に振り下ろされてくるパウンドをどのように捌き、一本を狙いに行くのか。サトシの引き出しの多さと仕掛け方に注目だ。
第8試合/パトリッキー・“ピットブル”・フレイレ VS. 川尻達也
パトリッキー・“ピットブル”・フレイレ
打撃パワー | 爆発力 | アグレッシブネス | 経験
川尻達也
経験 | グラウンドコントロール | パウンド | フィジカル | 覚悟
RIZIN.17で無敗の若手ロシアン、アリ・アブドゥルカリコフを破りグランプリ出場への切符を勝ち取った漢・川尻達也が一回戦でベラトールが送り込むパトリッキー・フレイレとぶつかる。ベラトールのピットブル兄弟は圧倒的攻撃力でKOの山を築いてきた実績を持ち、兄であるパトリッキーは67%のフィニッシュ率を誇る。その9割がKOによるもので、超強力な攻撃型ファイターだ。
川尻はこの荒れ狂う台風にどのように向かっていき、攻略するのか。フィジカルと根性では川尻が有利か。パトリッキーの打撃は殺傷能力が高いので、被弾しないように得意の距離に持っていく事が川尻のライフラインになるだろう。この試合は技術や展開よりも選手達の生き様や気持ちが目に見える試合になる故、そこに注目して見ていきたい。
第7試合/ルイス・グスタボ vs. 上迫博仁
RIZIN戦績1勝1敗のルイス・グスタボがRIZIN戦績1勝0敗の上迫博人と対戦。このマッチアップは絶妙に両者の良い部分が全部出せるポテンシャルを秘めている試合だ。全盛期のヴァンダレイ・シウバを彷彿とさせる超アグレッシブなグスタボに対して上迫選手も派手な試合を意識して戦うファイターだ。他の参戦選手に比べると見劣りするかも?と匂わせるこの両者が、ここでド派手な試合をしてインパクトを残す試合を期待したい。
このマッチアップは互いの強みが相手の良さを相殺せず、むしろ増幅させるくらい相性が良い。ライト級GP一回戦の中で最も激しい試合になるであろうとみている。ルイスの強打と踏み付けか、上迫の総合力とサッカーボールキックか。この試合がもしつまらなかったら坊主になります。それくらい相性が良い。
第6試合/トフィック・ムサエフ vs. ダミアン・ブラウン
トフィック・ムサエフ
試合決定率 | 総合力 | フィジカル | パウンド
ダミアン・ブラウン
重圧 | 打たれ強さ | 勝負強さ | グラップリング
RIZINで無敗の外国人選手同士の対戦。トフィックは大尊伸光とダロン・クルックシャンクに勝ち、ダミアンはダロン・クルックシャンクと武田光司を下してライト級グランプリ参戦の切符を手にした。多彩な打撃とレスリング力、そして強力なパウンドをもつトフィックに対し、確実な極めと狡猾な策略で巧みに試合を進めて行くダミアン。
打撃ではトフィックが攻め、ダミアンが守る展開か。グラウンドでは恐らくトフィックが上を取り、ダミアンが下から仕掛けていくという構図になるか。注目したいのはダミアンがダメージを負ってからの試合展開で、その時は彼の持味である超ド根性ファイトを見られるはずだ。ダミアンのゾンビモードが見られるか、そこまでいかずに鮮やかに極めるか。はたまたトフィックが今の勢いのままに12連勝を飾るのか。どちらが上がってくるにしても、激闘になる事は間違いない。
第5試合/中村K太郎 VS. マルコス・ヨシオ・ソウザ
中村K太郎
グラップリング | バックチョーク | 寝技のバリエーション | 経験
マルコス・ヨシオ・ソウザ
柔術 | 寝技のバリエーション | 極め | MMAセンス
日本を代表するウェルター級の中村K太郎がRIZINに初参戦。その相手となるのが日本、そして世界の柔術界を賑わせているソウザ兄弟の兄マルコス・ヨシオ・ソウザだ。実にRIZINらしいマッチメイク。MMAの経験でいったらUFCを2回に分けて出場し、4勝4敗とイーブンの戦績を残している中村に圧倒的軍配が上がるだろう。しかし、マルコスも2012年に総合デビューしてから9戦をこなし、内8勝を挙げている。
両者共にグラップリング力に長けており、ハイレベルな寝技の展開に期待したいが、RIZIN.15で組まれたホベルト選手 VS. 北岡選手の様にグラップラー同士が互いに牽制し合って打撃の試合になるかもしれない。中村選手の方が打撃を練習している期間は圧倒的に長く、マルコスは打撃を受ける免疫が薄いという印象がある為、打撃で試合の流れが大きく変わり、スクランブルから寝技の展開になるかもしれない。弟のサトシが大活躍しているだけに、兄マルコスにかかる期待も大きい。中村は今後のウェルター級確立のためにも、インパクトを残すような試合がしたい所だ。
第4試合/白鳥大珠 vs. 大雅
現RISE王者と元K-1王者の激突。RISEの世界トーナメントを制して勢いに乗る白鳥と、連敗を脱出してここからの再起に臨む大雅。この試合はソリッドパンチャーの白鳥対ハードパンチャーの大雅という構図になるが、それよりも身長とリーチの差が如実に現れる試合になるだろう。
大雅は打撃を当てる為には、まず距離をつぶさなければならない。ボクシング力の高い白鳥に大振りのパンチは当たり難いので、大雅のフットワークが非常に重要になってくる。白鳥の間合いと大雅のフットワークが勝負の鍵を握る戦いになるとみている。
第3試合/松倉信太郎 vs. 小西拓槙
日本中重量級ハードストライカー同士の試合が大阪で実現する。前回のRIZIN参戦でKO勝利を飾っている松倉と前回判定負けを喫している小西。スイッチを繰り返して相手を翻弄して戦う松倉と小細工無用で正面からプレッシャーかけていく小西。対照的な両者がリング上でどんな化学反応を起こすのか。
77kgが適正の小西に松倉が上げて合わせてくる形になる為、体格差とパワーの差は多少影響するか。スピードの松倉対パワーの小西という構図。地元での試合という事とRIZINのリングで絶対に連敗できない状況の小西がどんな戦いを見せるのか。そして松倉はチームメイトの大雅に良い形でバトンを渡したい。意志の強い方が勝つ。
≫ RIZIN.19 第3試合/対戦カード変更 松倉信太郎がドクターストップにより欠場、HIROYAが小西拓槙と対戦
第2試合/シビサイ頌真 vs. キム・チャンヒ
シビサイは前回のRIZINの試合では消化不良のまま終わっているので、ここで一気に名誉挽回したい所。相手は韓国の巨漢キム・チャンヒ。シビサイは日本重量級のエースのポジションを確保すべく、自分より体格の大きい相手に勝つだけではなく、勝ち方も求められる一戦。
キムチャンヒは大柄な体格からは想像できないフットワークの軽さとパンチの回転力を持った強者だ。無差別級特有の体重差がどのように試合に現れるのかが見ものの一戦となる
第1試合/植山征紀 vs. 梅井泰成
大阪を代表するストライカー同士の対決。植山はRIZIN参戦経験もある23歳のシュートボクシングのエースで、卓越したボクシング技術と回転の速い連打で相手を圧倒するスタイル。対する梅井はNJKFやDEEPキックで活躍する若干21歳の成長株。梅井はサウスポーの構えから左ミドルを起点として試合を組み立てていくので、パンチャーの植山対ミドルキックの梅井という構図になる。
パンチの距離に入ってしまえば植山が優位だが、RIZINキックルールではクリンチするとすぐにブレイクがかかる為、リセットはされやすい。自分の距離を保って戦う事ができる選手が有利になる試合だが、試合数と経験値では植山が有利か。