「見てる人をワクワクさせる、それが山本ファミリーのDNAですよ!」
——山本美憂選手が今回MMAでRIZINに参戦することになりましたが率直な思いをお聞かせください。
郁榮 美憂は小さい頃からレスリングをやってきましたけど、もともと取っ組み合いが好きなんですよ。
それで、(山本“KID”)徳郁の試合なんかをずっと見てきたじゃないですか?
だから美憂も「やってみたいなぁ」っていう気持ちは少しあったみたいですよ。
いつ頃からかはわかりませんけど。
あとは人を打つかどうかの違いだけであって(笑)。
ずっと徳郁の試合を観てるからそれが免疫みたいになっていて、このお話をもらったときにちょうど、「チャンスだ」と内心そう思ったと思うんですよ。
——ちょうどタイミングがあったんですね。
郁榮 そう。「おもしろそうだな」って思ったと思う。ボクは美憂が総合をやることに自信があるんです。
だから、女の子だから、自分の娘だからって打撃の世界に入っていくことに躊躇することはなかったですね。
——美憂選手は総合のトレーニングを始めてからどれくらいになるんですか?
郁榮 まだやって1カ月経たないくらいですかね。だから9月までだいたい2~3カ月なんですよ。それくらいあればあいつの才能だったらすぐに身につけられると思う。
だからそういう意味ではボクは全然心配はしていないんですよ。
——42歳でのMMA初挑戦ということになりますがそこはどう思っていますか?
郁榮 あのね、スポーツ選手って“年齢”ってよく言いますけど、スポーツ選手はモチベーションが麻痺したり下がったりしてしまうとき、それが“年齢”ってことなんですよ。
みなさんよく“年齢”って言いますけど、“年齢”っていうのは自分がもうやりたくない、十分だっていうのが“年齢”ですから。
美憂はいまからです。これから何年でもできますよ。
——数字ではないということですか。
郁榮 ないです。ボクはいま72歳でまだレスリングを教えたりします、当然スタミナは落ちます、でも瞬間的な動きっていうのはそんなには落ちないんですよ。
——9月25日の大会には美憂選手の息子・山本アーセン選手も出場します。親子揃って格闘技の大会に出場することって世界的に見てもそうそうないことだと思います。
郁榮 そうだね。アマチュアの小さな大会とかだったら親子でっていうのはあるかもしれませんけど、大きな大会、しかも世界を目指すトップレベルの大会ではファミリーで出場ってあまりないかもしれませんね。
昔から美憂を見てる人にとっては、「小さい頃からレスリングでがんばってた子がまだやってる」っていうのでまた見てくれる人もいるでしょうし、初めて見る人も、「お母さんになってもがんばってるな」って思ってくれると思うんですよ。
——同世代の女性にも凄く勇気を与えてくれる闘いになると思います。美憂選手の息子・アーセン選手は次がMMA2戦目になります。
郁榮 アーセンはもう基礎ができてるから。打撃もいいし、それからグラップリングもいま練習しているからこれからどんどん強くなりますよ。
前回なんて練習始めたのが試合の2カ月くらい前ですからね(笑)。
——敗れはしましたが、その状況の中で世界トップクラスのクロン・グレイシーを相手にあのデビュー戦を見せたわけですからね。
郁榮 そうそう。
——KID選手もアーセン選手も美憂選手もそうですが、山本家は試合を観る前から本当にワクワクさせてくれます。
郁榮 見てる人をワクワクさせる、それが山本ファミリーのDNAですよ(笑)。打撃でもタックルでも動きでも山本ファミリーの本能がありますからそこを見て欲しいですし、見せて欲しいですね。
山本郁榮(やまもと・いくえい)
1945年2月17日生まれ、愛知県出身。日本体育大学・名誉教授。
日本体育大学に入学してからレスリングを始め、全日本選手権3度優勝。1972年のミュンヘンオリンピック(グレコローマン57kg級)にも出場した。自身のレスリング経験をいかし長女・山本美憂、長男・山本"KID"徳郁、次女・山本聖子、そして、美憂の息子・山本アーセンとレスリングエリートを育て上げたレスリング一族・山本家の父。
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