「神様が家族との時間をくれた。普通の家族団らんとは違うかもしれないけど、トレーニングを一緒にしているの方が私らしい家族団らんのカタチなのかなって」
――会見でも言っていましたがお父様の郁榮さんから「ずっと闘っていてほしい」という言葉がありましたが。
美憂 そうなんですよ(笑)。小さい頃から、「レスリングはきっと30歳ぐらいで終わりなんだろう」って思ってたんですね。
でもいまこの年齢になってもやってますし、カナダでも10代20代の子たちを引っ張ってやっていたので。
英語にもそういう言葉があるんですけど、年齢はただの数で、「やる」っていうのは自分の気持ち次第だなと。
――総合格闘技はずっと観てきましたよね?
美憂 観てきましたね〜、というか、嫌でも観ないといけなかった(笑)。弟、ついには息子まで始めてしまったので……。
――今度は美憂選手まで(笑)。
美憂 まさか自分がリングの上に立つことになるとは思ってませんでしたね。それまではリオに行くことを信じてレスリング一本だったので。
それでリオがダメで、ちょうどRIZINからオファーがきて、すべて自分の人生のタイミングなのかなって。自分がやりたいとか挑戦したいと思ったことは、引き下がらないというか、必ずやらないと気が済まないタイプなんです(笑)。だから「やろう!」って思いました。
――それは「まずなんでもやってみなさい」というお父様の育て方というか。
美憂 そうですね。ある程度自分で決められるようになってから、私がやりたいって思ったことは必ず応援してくれたので、レスリングを一旦やめてまでっていうことに対しても、100パーセントの力で応援してくれました。これが私の生き方というか。
――美憂選手の新しいチャレンジは、全国のシングルマザーの皆さんの背中を押すというか、「がんばろう」っていう気持ちにさせるには十分な決断だと思います。
美憂 そうですか? そう言って頂けると嬉しいですけど、世界中のシングルマザーっていうのは私がどうこうっていうよりもすでに強いですよ。
強い母であり、父親の役目もしないといけないですから。私はその方たちと一緒にがんばるというか、そういう感じですね。
――ずっと美憂選手はレスリングをやってて、お子様たちからしたら今の日常はそんなに変わらないのかもしれないですけど。
美憂 そうですね(笑)。トレーニング三昧なのは変わらないので、それがママのライフスタイルだって思ってると思います。
――じゃあ別に特段変化はなく?
美憂 ないですね。娘の方は、パンチとキックがあるから、最初はびっくりして、「えーっ! ダメダメ!」って言ってたんですよ。
だけど、毎日練習についてきて見てるうちにどういうものかわかってきたのか……もちろん、まだまだこれからなんですけど、ある程度のものを見て、「ママだったら大丈夫」って信じてくれるようになりました。
――アーセン選手は、日々の練習の中で何か言ってくれたりするんですか?
美憂 いろいろ気づいたことを言ってくれますね。「ママ、ここは……」って教えてくれます。一生懸命だと思う。
――「やめなよ」って言われなかったですか?
美憂 もう、私が言い出したら止められないっていうの知ってますから(笑)。
止めなかったですね。たぶんびっくりしたと思うけど……。アーセンは練習も凄く一生懸命教えてくれるし、二人でたまに練習するときもありますよ。朝練やったり。
まさか親子で一緒に練習できると思わなかったから嬉しいですね。
生涯現役とかじゃないですけど、こういう状態がずっと続いたらなって思います。
弟がいて、アーセンがいて、父親がいて、子供たちが走り回ってって。弟の嫁も子供もいて、みんな一緒に頑張って勝ちにいこうとしてます。だから手強いですよ!(笑)。
――なるほどー! もちろんこれがデビュー戦なんですけど、我々としては末長くというか、何回でも出てほしいと思ってしまいます。
美憂 うーん(笑)。なんかいつも、「そこまでできない」とか言っておきながら、アテネ、ロンドン、リオって、自分の目標をたててここまで来て、自分で決めつけるのも絶対当たらないので、このまま自分の人生の流れに乗って行こうかなと思っています。
だからどのぐらいまでやるとか特に考えず、毎日一生懸命トレーニングして、がんばっていけるようにします。
――KID選手に教えてもらっていると聞きましたが鬼コーチですか?
美憂 厳しいけど、厳しさの中でも楽しくどんどん教えてくれる独自の教え方があるんです。
ポイントは厳しくしっかり教えるけど、そのかわりオリジナリティーみたいなのを引き出してくれる。
家族と一緒にいる安心感とか、嬉しさがあるでしょうかね? 凄く辛いし厳しいけど毎日幸せですね。
――家族みんなで同じ目標に向かっていく。息子であるアーセン選手もいますしね。
美憂 やっぱりKRAZY BEEは家族の割合が凄く多いですからね(笑)。KID、父も見に来てますし、アーセン、あとKIDの嫁のゆいちゃん、うちの子供とKIDの娘がいますから、ジムはかなり山本家率高いです!(笑)。
――でも心強いですよね。
美憂 心強いし、こんな機会レスリングだったらないじゃないですか。それも運命っていうか、自分がオリンピック行けなかったのはこういうことなのかなって。
神様が家族との時間をくれた。いままでずっとひとりで離れてたから。普通の家族団らんとは違うかもしれないけど、トレーニングを一緒にしている方が私らしい家族団らんのカタチなのかなって。凄く嬉しい。運命を感じます。
――いま世界的にも女子格闘技が盛り上がってきていて、RIZINでも女子格闘家が凄くがんばっていると思います。ギャビ・ガルシア選手とかレスリング出身の村田夏南子選手、RENA選手とかもそうですけど。
美憂 そうですねー! 村田夏南子ちゃんには1回お会いしましたね。基礎体力もあるし、低い構えでバランスもいいし、レスラーは本当に強いと思いました。
UFCでもレスリングあがりの選手って凄く強いじゃないですか? それは誇りに思って自信をもっていきたいですね。
――あとはRENA選手とかはご覧になったことありますよね?
美憂 こないだの年末の試合を観ました。
――どう思いました?
美憂 やっぱ立ち技うまいです。うまいっていうか立ち技のプロでいらっしゃるのでもちろんですけど。
――カッコよかったですか?
美憂 いやー、かわいいです!(笑)。入場とか見てても、「あ~かわいい~!」って。自分にはないものを持ってるなーと(笑)。
**――入場とかもし自分だったらって考えたりするんですか?
美憂 ありますよ! 自分だったらこの曲使うな~とか。特に派手な選手の入場とか見るの大好きなんで。うちの弟もそうだし、一番好きなのはナジーム・ハメドですね! あの人の入場が大好きでよく見てました。
――たしかにハメド選手とKID選手はかっこいいですよね!
美憂 大好きですねー! あとは須藤元気くんとかも凄く入場凝ってるから、プロだな~って。
メイウェザーとかもいいですね! ジャステン・ビーバーとか引き連れちゃって(笑)。
――アーセン選手に伺ったんですけど、“第二の伊藤みどり”って言われてたのは本当なんですか?
美憂 え! スケートですか?(笑)。小さい頃から足腰が強くて、ジャンプが大好きだったからだと思うんですけど、それは言い過ぎです! うちの家族言い過ぎなんですよ(笑)。
――話をおもしろく言いますよね(笑)。
美憂 ネタにしてるとしか思えない!(笑)。
――アーセン選手は、美憂選手が家族の中で一番まともだっておっしゃってましたよ。常識人だって(笑)。
美憂 本当に⁉︎ それは嬉しい! 41年間生きてきて初めて言われましたね、誰からもそんなこと言われたことないんで……、でも息子がそう言うってことは私はまともってことですよね?(笑)。
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