手外科学研究の最新の知見が掲載されている『日本手外科学会誌』にRIZIN医療部の羽田晋之介ドクターによる論文「トップレベルの総合格闘技大会における手指外傷の発生状況と特徴」と題した論文が掲載された。
これは2015年のRIZIN旗揚げから2021年までに出場したのべ666選手を対象にしたデータを取りまとめたものだ。この論文は、日本手外科学会誌(J Jpn Soc Surg Hand),第39巻 第5号 P.734-P.737,2023に掲載されている(論文閲覧は有料)。
興味のある方は是非、羽田晋之介ドクターの論文を見てみよう!
トップレベルの総合格闘技大会における手指外傷の発生状況と特徴
要旨
MMAでは四肢および体幹の外傷の中で手指の外傷発生率が最も高く、これはアメリカネバダ州のアスレチックコミッションが公表しているデータとも一致している(図表1参照)。
またボクシング等では起きる事が少ない母指の骨折が多いことや、いわゆるボクサー骨折と言われる骨折型がMMAでは少ないことが、採取したデータからでも読み取れる(図表2参照)。
これらのデータを元にRIZIN医療部は、外傷の予防策の検討や、それぞれ専門性の高い領域である
手外科領域とスポーツ医学領域の連携強化を目指していく予定だ。
論文詳細
総合格闘技は打撃,投げ技,関節技など全ての攻撃が許される外傷発生頻度の高い競技である.ボクシングと異なる衝撃吸収性の低いオープンフィンガーグローブを使用するため,手指や顔面の骨折が多いことが知られている.本研究では総合格闘技における手指の外傷発生の詳細を明らかにするために,国内トップレベルのプロ総合格闘技大会に出場した666選手を対象に後ろ向き調査を行った.外傷総数325件のうち手指の外傷が占める割合は手指13.2%(43件)で,最も多かった外傷は母指CM関節脱臼骨折,示指中手骨骨折,MP関節矢状索損傷でいずれも6件であった.部位別にみると中手骨(14件),MP関節(10件),CM関節(7件)の順に多く,指別では母指(14件),示指(9件),環指(6件),中指(5件),小指(3件)の順であった.本研究結果から外傷予防策の構築や専門的な治療機関との連携強化が重要課題であると考えられた.
日本手外科学会雑誌 37巻〜40巻
羽田晋之介ドクターの論文は第39巻 第5号 P.734-P.737に掲載。(論文閲覧は有料)
羽田晋之介ドクター
専門
- スポーツ医学、膝関節
- 再生医療、超音波ガイド下インターベンション
資格
- 医学博士
- 日本整形外科学会認定専門医
- 日本再生医療学会 再生医療認定医
- 日本スポーツ協会公認スポーツドクター
- 日本整形外科学会認定スポーツ医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 総合格闘技「RIZIN」 医療部副部長(2015~)
- 総合格闘技「BELLATOR JAPAN」大会ドクター(2019)
- キックボクシング「THE MATCH」 大会ドクター(2022)
- 横浜キヤノンイーグルス チームドクター(2013~)
- ラグビー関東代表 帯同ドクター(2012)
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