RIZIN.18 名古屋大会の見所をRIZINマッチメイク担当の「チャーリー」が徹底解説!選手のバッグボーンやストロングポイントを知れば、試合観戦がもっと楽しくなる!観戦前にチェックしよう!
堀口恭司 VS. 朝倉海
史上初の現役2団体王者になった事で間違いなくバンタム級世界トップ戦線に名前を連ね、世界のMMA業界から最も注目されている日本人ファイターの堀口選手が豊橋出身の朝倉海と対戦する。書面・実績で見ると、とんでもないミスマッチだ。ただ朝倉海選手には「もしかしたら」という期待感を抱かざるを得ない。MMAではパンチャーズチャンスという言葉が良く使われるが、まさにそれだ。アグレッシブで当て勘が良く、パンチのパワーもあるパンチャーは一発で試合の流れを変える事ができるという事が最大の魅力であり、見所になるだろう。
二人の勝負は間違いなく打撃での試合になり、相性はバッチリ。洗練された相手に対して粗削りで予想だにしない動きをする若い選手がアップセットを起こす場合もある。朝倉選手の失うものがないというパンチャーの腹の括りと心構えが最大の武器になり得るかもしれない。逆にデメリットしかない堀口選手には、少なからず今までとは全く違うプレッシャーが掛かるかも知れない。試合内容はもちろん、両選手の心理的状況も考慮しながら観るとより楽しめるマッチメイクだ。
浜崎朱加 VS. アム・ザ・ロケット
RIZINの絶対女王の浜崎選手は、文句なしで現在世界アトム級の頂点に君臨する選手。世界トップのランキングが中々活性化しない中、タイで注目を集めるアムが妥当浜崎に名乗りを上げた。アムはムエタイベースながらJJIF(着衣総合格闘技)で確固たる実績を残してきている。鋭い打撃を持ち、フィジカルが強く、関節技も取れるオールマイティな選手だ。試合経験が少ないという事で書面上だとミスマッチの様な感覚を受けるが、アムは大番狂わせを起こす武器を多く備えている。浜崎選手も決して油断出来ない危険な相手だ。
若くて勢いのある力が強い選手を、経験と技術を備えたベテランが迎え撃つという構図の試合になる。アムの寝技が強いとはいえ、浜崎選手は世界一の寝技を持つ選手だ。スクランブルの中で生まれる一瞬の隙を決して見逃さないはず。一つのミスが勝負を決める死闘を繰り返してきた浜崎選手相手にアムがどのように戦うか、そしてミスを犯してもそこを挽回できる動きができるのか。試合中の一つミスが命取りになる試合になるだろう。
ビクター・ヘンリー VS. トレント・ガーダム
数々の日本のプロモーションを渡り歩いてきたビクター・ヘンリーが、遂にRIZINに参戦する。ジョシュ・バーネット直伝のキャッチレスリングスタイルをベースに、打撃、組みと全てこなせるオールラウンダー。ハイペースで試合を制し、スクランブルも強いビクターだが試合終盤に失速する事もある。対するトレントは若干22歳(大会開催時)ながら、既にMMAで13戦、ムエタイで20戦こなしている試合経験が豊富なオーストラリア期待の二刀流選手。打撃の威力とバリエ―ションではビクターに勝っており、MMAで上を目指すためにジムを変えて寝技の強化にも取り組んでいる。まだまだ若く伸びしろの多い選手だ。
ビクターは打撃もこなせるとはいえ、試合内容はグラップラー対ストライカーという構図になるだろう。グラウンドに持ち込めば引き出しが多く、経験豊富なビクターが有利。トレントがスクランブルして立ち上がれるかどうかで試合の流れが大きく変わる。トレントは現役でMMAとキックの二刀流をこなしているので、この試合で打撃で魅せてRIZINでも二刀流のアピールを個人的には期待している。
マネル・ケイプ VS. 水垣偉弥
日本のMMA軽量級で世界への礎を築いた水垣選手。マネル選手がプロデビューをした頃、水垣選手は既にUFCの最前線で活躍をしてた。マネル選手がプロ17戦に対し、水垣選手はプロ38戦。倍以上のキャリアの差がある両者の試合は「ベテランの経験」 VS.「若手の勢い」という構図だ。試合の度に目に見えた成長を見せているマネル選手は、持ち前の運動神経、爆発力、身体の強さに加え、繊細な技術を習得しており、誰とやっても脅威になる存在になりつつある。対する水垣選手は、世界の最前線で猛者達と戦い抜いてきた自負と経験があり、試合運びの上手さがある。
マネル選手は試合前の挑発を繰り返しているようだが、今のところ水垣選手は大人の対応でサラっとかわしている。打撃の打ち合いになった場合はマネル、距離を取って、じっくり試合を組み立てていければ水垣選手が有利か。「勢いとパワー」VS.「技と経験」、いかなる局面でもこの構図がその時々の流れを決めるような試合になるだろう。
ジョン・ウェイン・パー vs. ダニロ・ザノリニ
ジョン・ウェイン・パー
右ストレート | テクニック | 経験 | 試合運び
ダニロ・ザノリニ
パンチパワー | コンビネーション | 経験 | 連打
日本で数々の激闘を繰り広げてきたジョン・ウェイン・パーが、実に11年ぶりに日本で試合をする。K1 MAXの一時代を築いた彼のパワーとテクニックに加え、さらなる経験と老獪さを身に付けたジョン・ウェイン・パーは、未だにどの選手にも脅威の存在になりえる。対するダニロ・ザノリニもまた、様々な団体での経験を積んで来たベテランファイター。数々の強敵をなぎ倒してきたパワーと勝負所の嗅覚は未だ健在だ。
慣れ親しんだ日本で100勝目に王手をかけるジョン・ウェイン・パーと、かつて憧れていた選手と地元で対戦するダニロ・ザノリニ。経験豊富な選手達だからこそ見せられる技術戦、心理戦。静かな展開から一気に爆発するような試合になるだろう。両者が交わった時の緊張感に期待。
浅倉カンナ VS. アリーシャ・ザペテラ
浅倉カンナ
レスリング力|ドライブ| グラウンドコントロール|柔軟性
アリーシャ・ザぺテラ
レスリング力 | スピード | ドライブ | グラウンドコントロール
浅倉選手は再びレスリングベースの相手と戦う事になる。前回の敗戦で学んだ事が克服できているかどうかが最大の課題だ。アリーシャは全米選手権の常連で、オリンピックの最終選考にも残るほどのアメリカンレスリングエリート。身長が低く、リーチも短いが瞬発力とタックルのスピードは群を抜いている。
両者共にテイクダウンを取ってからの展開が得意で、背中を付ける事には抵抗がある。この試合ではどちらが先に上を取るのか、そして取られた方はすぐにスクランブルで立ち上がれるか。グラップリングにおけるファーストアクションが勝負の行方を示唆する可能性がある。あるいは互いの強みが相殺し合ってレスラー同士の打撃戦になる可能性もある。アリーシャは前回の試合、打撃で打ち負けてしまっているので、彼女もまた敗戦から学んだものを出したいところ。RIZINのトップランカーとInvicta FCのトップランカー同士の攻防は息をつく暇もない展開になるだろう。
越智晴雄 VS. ジャレッド・ブルックス
越智晴雄
総合力 | タックル | フィジカル | 爆発力 | スピード
ジャレッド・ブルックス
爆発力 | パワー | スピード | テイクダウン | パウンド
男子ストロー級最高峰の試合が名古屋で行われる。RIZINデビュー戦で砂辺選手相手に鮮烈なKO勝ちを収めた越智選手が日本を代表して北米最強のストロー級ファイター、ジャレッド・ブルックスを迎え撃つ。両選手共に打倒極全て出来るオールラウンドファイターで、ストロー級でも打撃で倒せるパワーを持ち、スピードと無尽蔵のスタミナでハイペースの攻防を持続できる。
越智選手が鋭いタックルを持ち味にしているのに対し、ジャレッド選手は組んでパワーを活かしたリフトからのスラムで試合を組み立てていく。グラウンドで比較すると、越智選手はじっくり勝負を決めにいくのに対し、ジャレッド選手はパウンド殺よろしくガンガン打ち下ろし、弱った所をチョークで仕留めるパターンを得意としている。ポイントはどちらがリングの中で上手く戦えるか、そしてRIZINルールのサッカーボールキックグラウンド状態での頭部膝蹴りを有効に使えるかが勝負の鍵になるだろう。
上迫博仁 VS. イーブス・ランドゥー
上迫博仁
打撃 | パワー | 当て勘 | サッカーボールキック
イーブス・ランドゥー
打撃 | アグレッシブネス | 圧力 | 爆発力
元DEEP王者で現パンクラストップランカーの上迫選手は、総合的にバランスが良く、打撃戦を好む非常にアグレッシブなファイターだ。試合のフィニッシュ率も高く、今回のライト級GPにおける日本人選手のダークホース的存在。対するイーブスはプロのブレイクダンサーという異例のバックボーンを持ちながら、国内散打王者、2団体王者という確かな実績を持っている。ファイトスタイルは非常に好戦的で、飛び込みながらの蹴り、回転蹴り、飛び膝などを多用しつつ、グラウンドにもしっかり対応できる万能型のファイターだ。
互いのファイトスタイルを考慮すると、非常に激しい乱打戦、そしてグラウンドでのスクランブルもあり、リングを最大限に使う動きの多い試合に期待。上迫選手はサッカーボールキックの名手なので、チャンスがあれば容赦なく狙ってくるだろう。グラウンドでの攻防の際が注目するポイント。両者ともフィニッシュを狙うスタイルなので、分かりやすい試合になる事は間違いない。
祖根寿麻 VS. ジャスティン・スコッギンス
祖根寿麻
打撃 | 経験 | 当て勘 | アグレッシブ | 精神力
ジャスティン・スコッギンス
打撃 | 蹴り | 経験 | アグレッシブ
元修斗環太平洋王者が地元で元UFCファイターのジャスティン・スコッギンスと対戦する。両者鋭い打撃を得意とするスタイルなので試合の相性はバッチリ。共に経験豊富で様々な引き出しを持つが、最終的には打撃で動きがあり、そこからグラウンドになる試合展開になるだろう。蹴り技の豊富さ、回転力ではスコギンス選手、パンチの正確さ、突進力では祖根選手か。スタンドでの両者の独特な間合いとタイミングにも注目。この二人だからこそ演出出来る緊張感のある攻防に期待。
グラウンドでは祖根選手の方が引き出しが多いか。スコッギンス選手はレスリング力は強いが技に対する抵抗が少なく、どうしても寝技が苦手というイメージが定着してしまっている。ここを祖根選手が付くのか、スコッギンス選手がそこを否定できるのか。立っても寝ても見所が満載の魅力的な試合。両者共にここで勝ってRIZINバンタム級戦線に割り込んで行きたい。その為には勝敗はもちろん、パフォーマンス、勝ち方も重要になってくる。
征矢貴 VS. 村元友太郎
RIZIN.16で戦慄のKOデビューを果たした征矢選手。その勢いのままRIZINに連続参戦し、再びインパクトのある勝ち方でバンタム級戦線に食い込んで行けるか。村元選手はDEEP生え抜きのストロー級の選手で、征矢選手に負けた川原選手とは何度も死闘を繰り広げており、いわば戦友。地元名古屋開催、そして修斗 VS. DEEPという団体対抗戦の構図とモチベーションが上がる材料は十分で、川原選手の仇討ちという気持ちが表れる試合になるのではないだろうか。
パワーとフィジカルでは征矢選手、スピード、フットワーク、手数の多さでは村元選手か。村元選手は征矢選手と対面した時にプレッシャーを感じる事になると思うが、そこをいかに捌いて持ち前のスピードで自分の試合展開を作っていけるかがポイントになる。この階級だからこそ見られる早いペース、動きの多いスクランブルの展開に加え、一撃で試合が終わるかもしれないというスリリングな戦いに期待したい。
あい VS. タバサ・ワトキンズ
KRAZY BEE期待のあい選手が再びRIZINのリングに上がる。昨年末のRIZINでプロデビューを果たしてから3戦全勝を飾っており、格闘代理戦争を含めると僅か10か月で6戦目となる。それを可能にするフィジカルと試合勘に加え、持ち前のレスリング力を活かしたスタイルで試合の度に脅威的な成長を見せている。対戦相手のタバサ選手は、柔術をベースとして戦うグラウンドファイター。ベラトールにも参戦経験があり、今のあい選手の成長を測るにはうってつけの相手だ。
レスラー対柔術という構図となるので、打撃での甲乙、そしてテイクダウンを取ってからの攻防が鍵となる。指導者である山本美憂選手からどのようなアドバイスがあるのか、各陣営のブレーンと戦略にも注目の試合だ。
瀧谷渉太 VS. 大﨑一貴
超高速で超好戦的な二人が対戦する。瀧谷選手はグイグイ前に出てきてインファイトでペースを作っていくブルファイター。対する大崎選手も前に出てくる選手だが、ジリジリ距離を詰めながら攻撃を繰り出していくタイプ。手数と勢いでは瀧谷選手、パワーと正確さでは大崎選手か。
両者打ち合いから逃げずにパンチを繰り出すファイターなので、高速の打ち合いになる事が必至。ローキックとハイキックを綺麗に打ち分ける瀧谷選手に対して、大崎選手は回転蹴り、前蹴りなどバリエーションが豊富。遠い距離では大崎選手の方が引き出しが多いか。超接近戦になった時に前に出続けるのはどちらか。決して交わる事の無かった二人がどんな意地を見せてくれるのか。
堀尾竜司 VS. 桜井宇宙
RIZIN神戸大会で急なオファーにも関わらず、二つ返事で試合をうけた上にフルラウンド動き続けて勝利を収めた堀尾選手。今回は十分な準備期間が与えられた中で、どのようなパフォーマンスを見せるのか。対する桜井選手は業界から注目されている期待の新星。抜群の運動神経とセンスを持ち合わせた10代の選手で、現在は総合格闘技もこなす二刀流ファイターだ。
キックボクシング一本をこなす変則ファイターの堀尾選手と才能豊かでキックボクシングと総合格闘技をこなす若手ファイタ―の桜井選手が起こす化学反応は、想像がつかない。桜井選手が地元の声援に押され、王者にまで上り詰めた経験豊かな相手にどんなパフォーマンスを見せてくれるのか注目。