ルール
RIZIN 女子 MMA トーナメントルール:5分3R/インターバル60秒 49.0kg
試合結果
1R 4分34秒 チョークスリーパー
試合内容
「浅倉 カンナがRENAに完勝!RIZIN初代女王に輝く!!」
女子スーパーアトム級トーナメント決勝戦。1R、リングセンターに立つRENAに、浅倉はサウスポースタイルで回りながら距離を詰めていくと両足タックルでRENAをテイクダウン。しかしRENAはすぐに立ち上がり再びスタンドの攻防に。浅倉の左インロー、そして片足タックルはRENAが切る。RENAの左ストレート、右ストレートをヒット。浅倉が両足タックルでついにテイクダウンに成功すると、サイド、そしてバックに回りすぐさまチョークスリーパーに。これが完全に極まったがRENAはタップせずにそのまま失神。
浅倉カンナが完勝で優勝を果たした。
感涙に顔をくしゃくしゃにして喜びを露わにする浅倉にインタビュー。「ありがとうございます。本当にRIZINのベルトを巻けて嬉しいです。(RENAとは)正直、試合前からやりづらいなと思うこともあったんですけど、RENAさんが決勝に上がってくることを信じて、そして自分も上がって、こうして大晦日に戦えてよかったです。去年はすごい悔しい思いをして、その悔しさを晴らせるのは同じ舞台でしかできないと思っていたので、あの負けがよかったと思います。初めてベルトを巻くことができてよかったです。『嬉しいです』しか出てこないですね…。来年もまだまだな私ですが、これからも突っ走っていけたらと思います。やっぱりレスリングを辞めて辛い時期もあったんですけど、鶴屋先生のおかげで格闘技に出会えてよかったです。皆様のおかげでここまでこれたので、感謝の気持ちでいっぱいです。(父・洋平氏に)ちっちゃい時は格闘技が嫌いだったんですけど、今は強くしてくれて感謝しています。ありがとうございます」と語り、浅倉カンナの涙の優勝で女子スーパーアトム級トーナメントは幕を閉じた。
試合後インタビュー:RENA
「私の人生はいつも負けから始まるので、負けてニュースになるぐらいの女じゃないとダメだなと思っています」
——いまの気分を教えてください。
RENA そうですね、MMAの厳しさというか、難しさを学んだ試合だったなと思います。
——本日一試合目は良い感じに勝っていたと思いますが、一試合目の感想を教えてもらえますか?
RENA 右で倒して、乗った感じになっていたので、「これはいけるな」っていう感覚があったんですけど、決勝戦で闘っているうちに「いけるな」って思っちゃった部分があって、そこから展開がおかしくなって(笑)。でも、それが総合格闘技の厳しさだと思ったので、悔しいけど…まだまだ2年なので、まだ2歳なので、ここからです。私のストーリーが面白くなるのは。
——負けることが凄く久しぶりだと思うのですが、それはいかがですか?
RENA 久しぶりすぎて、みんなが腫れ物を触るように扱ってくれるので、全然大丈夫なので(笑)。普通に接していただけるとありがたいです。
——自分の中では、いかがでしょうか?
RENA もう、出し切ったので。これで負けたら仕方ないなって思うところまで練習できたし、2年でここまでよくやったなって自分で胸張って言えるので。デビューして2年でメインも張って、トーナメントも準優勝までいけて、望んでいたのは優勝ですけど、実際そんな甘くないので。私の人生はいつも負けから始まるので、負けてニュースになるぐらいの女じゃないとダメだなと思っています。
——最後までタップをしなかったところに、RENAさんの強さを感じました。
RENA 絶対負けたくなかったので、そこだけは譲れなかったというか、逃げれるとも思っていたし、初めて落ちたんですけど、変な夢見ていました。楽しい夢を見ていました(笑)。気付いたら周りに5〜6人いて、「なんだこれは!?」みたいな(笑)。それも良い経験だと思います。
——バックを取られたときの心境は?
RENA 「来るな」とは思ったんですけど、反応がちょっと遅かったのと、変な自信でいけると思っちゃっていたので、そこが隙ですね。自分が甘かった。いままでそれでいけていたので。ここから通用しなくなる期間だと思うので、まだまだ私の成長は止まらないかなと。悔しいけど、仕方ない。
——あの体勢になったときにチョークをとられない練習はしていましたか?
RENA 普通にしていましたよ。全部練習していましたけど、立って打撃だと思っていたので。
——そこで取られてしまったのは何故なんですか?
RENA ちょっと油断していたのはありますね。ていうか、いままでの6年間がうまいこといきすぎていたんですよ(笑)。私の人生はそんなうまいこといかない。でも、ここからまた強くなれるからいいかなと。
——やられたからにはやり返しますか?
RENA リング上で言いましたよ。「私は必ずやり返すから」って(笑)。じゃないと面白くないじゃないですか。せっかくここまで盛り上げたのに。最終的に一番になるのは私だと思うので。
——もしかしたらMMAから一旦離れるのかなと思ったんですけど、そうではなくやり返しますか?
RENA そうですね。もう、覚悟は決まったので。試合前から覚悟は決めていたので。
——浅倉選手のテイクダウンを最初は切っていて、それが距離が近くなったりしたんでしょうか?
RENA 距離が近かったっていうか、めちゃくちゃ切れていたので、それで調子乗ったんですよね(笑)。それでいけると思っちゃったからダメだったんですよ。
——最後喉元を掴まれてっていうのは、練習では外せていたのでしょうか?
RENA そうですね。いつも練習ではできていたんですけど、試合と練習は違いますね。
——来年の予定は?
RENA まだ正直わからないですけど、2年突き詰めて頑張っちゃったので、一瞬心と体をリセットしたいなと思っています。
——試合後、泣いているようにも見えましたが。
RENA そうですね(笑)。嘘泣きと言いたいですけど、心の汗が少しにじみ出ました(笑)。
——最後に出てきたときにはいつも通りに見えましたが、スイッチはどのように切り替えたんですか?
RENA 応援してくれる皆さんに最後まで悲しい思いもさせたくないし、安心させたいという気持ちもあったので。まだ私は腐ってないよってことを伝えたかった。
——入場の途中で曲と衣装が変わったことに驚いたんですけど、あれは大晦日仕様ですか?
RENA そうですね。この先も使うかはわからないですけど、和を出してみました。
——紅白に対抗したわけではないですか?
RENA そこまで考えていなかったですけど、年末からお正月にかけてということで。内側に飼っている犬に扮した刺繍を入れたりとか、細かいことをやりました。
試合後インタビュー:浅倉 カンナ
「追われる立場にもなると思うので、そっちの部分でも頑張りたいです」
——いまのご気分を教えてください。
浅倉 素直に嬉しいですね。
——トーナメントを振り返ってどうでしたか?
浅倉 緊張してて試合内容はあまり覚えてないんですけど、今回準決勝、決勝と勝ち上がれて本当に嬉しいです。練習やってきたことがやっと出せたなっていう感じです。
——RENA選手との決勝戦はどんな試合でしたか?
浅倉 正直、凄いやりづらかったんですけど、RENAさん絶対上がってきてくれるって信じていたので。試合中はRENAさんをちゃんと相手として見て闘いました。
——実際に肌を合わせてみて、RENAさんはどんな選手でしたか?
浅倉 やっぱり打撃の怖さはありました?
——それは落ち着いて対処できて、最後のフィニッシュまで持って行けた感じですか?
浅倉 打撃に付き合っちゃたらまずいなって思ったので、仕留められるところでいかなきゃっていうのはありました。
——自分の中ではあの試合はコントロールできていた感じですか?
浅倉 あんまり覚えてないんですけど、結果極められたので良かったなと思っています。
——今日トーナメント優勝して、ジョシカクの顔になっていくわけですが、今後の目標はありますか?
浅倉 まだまだだと思っているので、チャレンジャーとしても頑張りたいし、追われる立場にもなると思うので、そっちの部分でも頑張りたいです。まだまだこれからだって思っているので、頑張ります!
——最初のテイクダウンを切られたことで、心理的な変化はありましたか?
浅倉 「うわ、切られちゃった」って思いましたね。RENAさんはいままでの試合で打撃でたくさん極めてきてるので、「とれる」って思うよりもちょっと焦りました。
——最後にテイクダウンできたときは?
浅倉 最後どんな形だったか本当に覚えてなくて(笑)。だけど、バックもらって「いける!」って思って極めにいきました。
——足を掛けて体を伸ばしたのも、いつもの自分に染み付いてる動きが自然に出たという感じですか?
浅倉 そうですね。練習でやってたことは出るなって思いました。
——勝因は何だと思いました?
浅倉 いままで凄い練習してきて、今回それが自信になったので、練習をやっていれば結果出るなって思いました。
——最後、RENA選手を落として勝ちましたが、相手が落ちた瞬間はわかりましたか?
浅倉 わかんなかったです。RENAさんが倒れてからわかりました。自分がやってるときはわかんなかったです。
——結果が出たあと、大の字になっていたのが印象的だったんですけど、あのときはどこを見ていたんですか?
浅倉 やっと終わったって感じでしたね。いままできつい練習してきて、それが全部出せて、「終わったー!」って思いました。
——先ほどRENA選手が、「リング上でやり返すって言った」と話していました。
浅倉 言われましたね(笑)。「絶対やり返すからな」って言われて、「さすが姉さんです」って感じでした(笑)。
——再戦したいですか?
浅倉 正直やりたくないですけど(笑)。試合前もどうしていいかわかんなくて、でもRENAさんが「試合になったらやるしかないから」って言ってくれて試合もできたので、ファイターとして本当に尊敬しています。
——これまでジョシカクを引っ張っていたRENA選手に勝ってベルトを手にしたわけですが、ベルトの重みはどうですか?
浅倉 かなり感じますね。去年負けて泣いて、今日は嬉し泣きしてって、1年で凄い変わったなって思います。
——今年は6戦6勝でしたが、振り返ってどうでしたか?
浅倉 今年は高校生から格闘家になって、練習量も増えて、いろいろ変わった年で、最後こういう形で良く終われてホッとしてます。
——優勝賞金はどう使いますか?
浅倉 ベルト獲りたいなとは思っていたんですけど、まったく賞金のことは考えていなくて。まだ想像もつかないので、これから気持ちも落ち着いたら考えたいです。
——お父さんには何か声はかけましたか?
浅倉 まだ試合終わって話してなくて。画面越しに泣いてるのが見えて、勝ってよかったって思いました。
——お正月の予定は?
浅倉 ゆっくりできればそれでいいですね。ここまで頑張ってきたのでちょっとゆっくりしたいです。
——2018年は新しいRIZINの女子エースとして活躍されると思いますが、どういう1年にしたいですか?
浅倉 ベルトの持ち方もわかんないぐらいなんですけど、チャンピオンとしてRIZINに出場して引っ張っていけるような存在になれるように、まだまだ足りてない部分がたくさんあると思うので。頑張ることがたくさんあって、だからこそ格闘技って楽しいなって思いますね。
——今回トーナメントに出場するにあたり、優勝する自信はありましたか?
浅倉 自信はそんなになかったんですけど、自分で思っていることじゃないとできないと思うので、「優勝するんだ」っていう気持ちだけは凄い持っていました。
——次に対戦してみたい相手はいますか?
浅倉 トーナメントのことだけ考えてきたのでいまは全然いなくて。これから探したいです。
——会場で声援もかなりありましたが、聞こえていましたか?
浅倉 だんだん集中して聞こえなくなっちゃったんですけど、最初のほうは聞こえていました。
——最後のフィニッシュの過程は落ち着いているように見えたのですが、寝かせてしまえば勝てるという自信はあったのですか?
浅倉 寝かして勝てるっていう自信はなかったですけど、逆に立たれたら極められると思って、ここしかないって思って極めました。
——年明け、成人式があると思いますが、「ベルトを獲れたら持って行く」と言ってましたが、持ってきますか?
浅倉 持っていきたいですね。みんなに見せたいです。成人式のこと忘れてました(笑)。
——それは、ベルトがあるからですか?
浅倉 終わってからのこと全然考えてなくて、いまは本当に終わってホッとしてます。
——今日の試合は世界中の人が驚いていると思いますが、世界にショックを与えたことをどのようにお考えですか?
浅倉 RENAさんが勝つと思ってた人もたくさんいると思うので、自分が勝ったことでひっくり返せたのかなって思いますね。まだあんまり実感がないんですけど。
——この1年ですごく成長して強くなったと思いますが、天心選手も同世代で、同じように家族のサポートを得てこのような形になっていますが、そういったサポートを得てRIZINで夢を叶えたことをどう思いますか?
浅倉 昔レスリングやってたころからお父さんは凄い厳しくて、レスリングが嫌いになったりした時期もあったんですけど、いまになってそれが活きてきてるので感謝しかないですね。お父さんのおかげでここまで来れました。