朝倉の蹴りを封じた斎藤のタックル
ーーそうそうっ!!この試合の大〜〜きな見どころっ!!『斎藤選手は果たして朝倉選手を倒せるのか?!』っていうところでしたね…っ!!
そうですね。2R目に斎藤選手が朝倉選手を倒すじゃないですか、この時、斎藤選手はニータップという技をやっているんですよ。
ーーあっ!試合の解説で中井祐樹先生も「ニータップ」って言ってました!!
お、本当ですか?斎藤選手は朝倉選手の蹴った脚の膝の裏を持って、対局の上半身を押したんです。そうすると足が戻らないので朝倉選手は後ろに転んじゃうんですよ。
用語解説
ニータップ
相手がミドルキックを蹴った瞬間に膝の裏を持って、且つ対局の上半身を押して相手を倒しテイクダウンする技術。
ーーほうほうほう。斎藤選手はこのニータップという技術で朝倉選手からテイクダウンを奪った、ってことですかぁ??
そうです。蹴り足を捕まえて、足を引くタイミングと同時に前へ押し倒したから、朝倉選手は防御にワンテンポ遅れたんですよ。そして朝倉選手はこれをされてから明らかに蹴りを出さなくなりましたね。蹴りに合わせられてテイクダウンされると判断したんだと思います。
ーーたしかにっ!!そう言われて見てみると、朝倉選手の蹴りがググ〜っと減りましたね〜〜っ!!
斎藤選手はこれで倒せば良いと思ったんですよね、恐らく。ロープ際とかコーナーポストで体力を使って無理して倒す必要はないと。疲れちゃうんでね。斎藤選手がこれをしたことで朝倉選手はちょっ蹴り辛くなっちゃっいましたね。
ーーそういえばチャーリーさんっ!!この斎藤選手のタックルで思い出したんですが、私、斎藤選手についてちょっと調べてみたんですっ!もともとレスリングとかやっていたのかな〜と思って。そしたら斎藤選手、もともとレスリングなどをやってたわけじゃなかったんですよ〜っ!!
ほう、斎藤選手ってもともと何をしてたんですか?
ーーそ〜れ〜が〜っ!!斎藤選手って小中学校の頃は野球少年だったんですって〜〜っ!!野球の後は高校で空手をやって、そしてパラエストラに入ったみたいなんです〜っ!!
へー、生粋のシューターじゃないですか。
ーーきっすいのしゅーたぁー??...って、どういう意味ですかぁ??
シューティングジム、パラエストラに入って総合格闘技を始めて、アマチュア修斗に出て…っていう、レスリングやってました、ボクシングやってましたとかではなくて、そういったバックボーン無しで修斗という競技から始めたってことです。だから、みんなが言う「打・投・極」を、どこかに偏っているわけでもなくバランス良く出来るんじゃないかなと思いますね。
ーーななな、なるほど〜〜っ!!“生粋のシューター”斎藤裕...なんか格好良いですね...っ!!
でも改めて見ると、朝倉選手はいつも左の蹴りを出すのに、やっぱり今回は全然出してないですね。あのタックルから気にしちゃったのかなって思うくらい。そう考えると、斎藤選手はあそこでテイクダウンしたことで朝倉選手の武器を一つ封じた、という事になりますね。
勝利を引き寄せたのは斎藤裕のポーカーフェイス
ーーいや〜〜、チャーリーさんと1・2Rを一緒に振り返って見てみましたが、改めて見るとダメージという点ではジャッジの通りで、たしかに差がないように思ってきちゃいましたねぇ〜〜!!
たしかに、ここまで見ているとダメージに差はないですね。そして両者ともによくここまでヒリつく展開を続けられてますよね…。ただ、その中で斎藤選手がちょっとリズムを変えたり攻め方を変えたりして、試合を動かしている感じがします。
ーーそうですよねっ!!
たしかに色んなバリエーションを出して攻めて、有利に試合を進めているのは斎藤選手です。改めて見ると、1Rも2Rも斎藤選手が取っていますね。これまでダメージの話をしましたが、明確なダウンがない限りはダメージで判断しちゃいけないってことだと感じましたね。
ーーあああーーーーーっ!!3R残り1分のところで、試合が動きましたよぉーーーーーーっ!!
朝倉選手の左が斎藤選手の顔に当たりましたね、フラッシュダウンですけど。でも斎藤選手もすぐ立ち上がってよく打ち返しました。で、ここでまた斎藤選手も朝倉選手に効かせる。でもまた効かされて、すぐ立って、すぐ打ち返す…。これらがダメージとして取られているのか取られてないのか…いや〜〜本当に難しいっす!あの一瞬の攻防を、あの瞬間にジャッジするのは、本当に難しいっすね。
ーーこの斎藤選手のブンブン首を振る「倒れてませんよ」アピールがぁぁ…根性!!まさに根性ですよ、チャーリーさんっ!!目頭が熱くなりますぅぅ……!!
この時の斎藤選手の倒れ方、倒れる瞬間にくるっと反転してすぐ立ち上がってるんですよ。これがダメージとしてみなされてないんでしょうね、やっぱり。
ーーこ、こういう行動が「相殺」に繋がっているんですね…っ!!
難しいですね〜。これは本当に斎藤選手のポーカーフェイスが引き寄せた勝利なんじゃないかなと、僕は思います。朝倉選手はこの3R目で、ダメージで差を付けたかったし、差を付けなきゃ勝てなかったっていう状況だったと思うんです。でもあのやり取りでは多分、差をつけるには足りなかったんでしょうね。
斎藤選手のあの倒れた場面も、ジャッジとしてはあれはタイミングで倒れたっていう判断だったし、たぶん斎藤選手本人も倒れたように見せないようにしていたんでしょう。斎藤選手の意図した行動と、ジャッジの見方が重なって、最終的に「ダメージは相殺した」という評価につながったんだと思います。
ーーなんと…あの激闘と判定の時間の中で、そんな判断が下されていたなんて…っ!!
でも朝倉選手の立場からしたら、打ち合いの中でフラッシュダウンとは言え相手を倒したのにそれを評価されないのはちょっとキツイですよね。それをそういう風にジャッジに評価させなかった斎藤選手が上手かった、としか言えないです。本当にこれは斎藤選手のポーカーフェイスが引き寄せた勝利です。
ーー話を聞けば聞くほど、す〜んごい試合だったんですねっ、あのタイトルマッチは…っ!!そして斎藤選手ってポーカーフェイスだから表情に出してないですけど、決して倒れない、倒れたようにすら見せない、内なる根性を秘めた、そんな熱ぅ〜〜い男なんですね…っ!かっこいいーーっ!!(泣)
そうですね、すごい根性ですよ、本当に。
いずれにしてもこの試合は、この二人にしか作れない緊張感の中で行われたからこそ、生観戦した、リアルタイムで見た人にしか味わえないプレミアムな試合だったと思います。それは生観戦した人が一番感じていると思いますけどね。やっぱ格闘技は生観戦ですね。
ーーたしかにーーーーーっ!!リアルタイムで見たあの緊張感とドキドキは、ものすっごーーーーい貴重な経験だったと、私も思いますっ!!
これから、フェザー級の新チャンピオンに輝いた斎藤選手が、RIZINでどんな試合を見せてくれるのか、本当に楽しみですね。
ーーぷっはーーーーっ!!タイトルマッチの振り返っただけでも、なんだかすごーく疲れちゃいましたね。。だがしかしっ!!打ち切りを回避したこのコーナー、1回だけにするわけには行きませんっ!!
はぁ、まぁなんとなく察しはついていましたよ。
ーーっということで、チャーリーさん、もう1試合振り返りたいんですけど…まだお時間良いですかぁ??
はいはい、ではもう一試合は次回、またゆっくりお話しましょう。