明けましておめでとうございます!雷美(らいみ)です!2020年、皆さんいかがお過ごしですか?もうすぐ2月ですが、今年も「教えてチャーリー!」をよろしくお願いします!

この「教えてチャーリー!」は、格闘技初心者の私が、RIZINマッチメーカーのチャーリーさんと一緒に“これを読めば格闘技観戦がもっと楽しくなる!”を目指して試合を振り返っていく企画です!

今回初めての年末大会でとても大変でしたが、それ以上にとっての素晴らしい大会でしたね!凄く感動する試合ばかりで、年明けの見事に「RIZINロス」になりました。。そんな年末大会の喪失感を埋めるべく、今回もチャーリーさんの元へやってきました!早速チャーリーさんとともに年末大会を振り返って行きたいと思います!

ーーチャーリーさん!お久しぶりです!ハッピーニューイヤーーーー!!今年もよろしくお願いします!
お疲れ様です。雷美さん、無事に年を越せたんですか?良かったですね。今年もよろしくお願いします。

ーーナンダヨー!ワタシモ年越セタヨーーー!
今回はマネル・ケイプの真似ですか...雷美さんは毎回ちゃんと新ネタを取り入れてきますね。大晦日は1試合目から緊張感ある試合になって本当に素晴らしかったですね。

ーー1試合目!!この1試合目からチャーリーさんのお話聞きたかったんですよ!早速いつものアレ、お願いします!
はい、今回もやりましょうか。それにしても2019年の大晦日、この試合から始まったのは本当に贅沢でしたね。

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ーー1試合目ってこんなに熱いんでしたっけ?!と思うくらいの熱量でしたね!
1試合目で火が着くと大会全体が盛り上がるみたいなジンクスがあるくらいですから。トフィック・ムサエフもジョニー・ケースもRIZINには過去3回出場していて、二人とも今回が4回目の出場だったのですが、声援が大きかったのも嬉しかったですね。

ーー二人ともRIZIN出場が4回目だったんですね〜!
人って3回見たらだいたい顔を覚えてもらえるらしいんですって。だから今回ムサエフもジョニーも外国人選手ですけど、会場の観客から評価されて声援を受けていたのは嬉しかったですね。もちろん、二人ともそれだけの実力を持っていますから。

ーー二人とも前回のライト級グランプリ初戦で1R勝利していたのも皆さんの印象に強く残っていたのかもしれませんね〜。それもあって1試合目からどうなるのか凄くドキドキしていました…!
もっと二人の潰し合い削り合いになるかと思っていたのですが、二人とも最初から勝負に行ってましたね。この試合がトーナメントではなく単発の試合だったら、きっと試合内容が違っていたと思います。

ーー大晦日は準決勝と決勝が同じ日にありましたが、二人とも決勝で闘う事を考えながらこの試合をしていたってことですか?
そうですね。如何にダメージと疲労を残さずに決勝まで進めるか。逆に、リスクを背負ってコミットしに行くところがより見えましたね。全て出しきって打つパンチとか、やりきっている、コミットしに行っている。ムサエフの今回のジョニー・ケース戦での闘い方と、以前のダロン・クルックシャンク戦での闘い方では全然違いますから。

≫ RIZIN.16 ダロン・クルックシャンク vs. トフィック・ムサエフ 試合動画を見る

ーーたしかに、特に序盤の闘い方は全然違いますね!
今回はムサエフがちゃんと踏み込んでコミットしていたので、こういう結果になったんだと思います。ジョニーも負けましたけど、納得していましたね。ジョニー自身も気持ちを持って闘っていたし、気持ち良く負けたと。

ーー「コミットしに行く」ってことは、一発で勝てる可能性もあるし一発で負ける可能性もあるってことですか?
そうです。試合後に彼はこう言ってきたんですよ。「格闘技は恋人みたいだ。」って。

ーーなな!!なんですか!?内容を聞く前からイケメン感が漂うその発言は…!!
「格闘技は女みたいだ」って。「大好きでしょうがないけど、たまに心打ち砕かれる。それでも好きでしょうがない」。負けた後にサラッとそんなこと言ってましたよ。こいつー、男前だなと思いましたね。

ーー名言過ぎますね…!なんか私、ドキドキしちゃいました!!
ジョニーも負けましたけど、やっぱり凄いなと思ったのがこの後のコレです!

ーームサエフのパンチをもらった場面ですか??
その後です。ここで右のパンチをもらうじゃないですか。この後にこのタックルを出来るやつってなかなかいないですよね。これで盛り返しましたよね。

ーーパンチをもらったのに、あんな風にタックル出来るものなんですか…す、凄い!
客観的に見てきて、ダメージをもらったのに咄嗟にタックルに行くのは『レスラーの本能』ですよね。ジョニーがタックル出来たのは、ムサエフがジョニーにトドメを刺しに寄ってきたからだと思うんです。警戒する選手やそこまでコミットしない選手が相手だったら、ジョニーはあのテイクダウンは取れなかったと思うんですよ。

ーーパンチもらった後にムサエフ選手を投げるシーン、あそこで「やっぱり凄い!ジョニー・ケース!」って思いました!
ムサエフは最後にフィニッシュに行くスタイルなんですが、そこでオーバーコミットした事によってジョニーの良さが光ったんです。ムサエフにしたら軽率っちゃ軽率なんですけど、ムサエフがフィニッシュするためにモロに突っ込んで来たから、ジョニーがあそこまで接近できてテイクダウンが取れたんです。

ーーなるほど〜!お互いの良いところが、良い感じに見れた試合だったんですね!
そう考えるとムサエフは悪い言い方をすると荒くてミスが出やすいスタイルなんですが、相手のいいところも引き出せるスタイルってことなんですよ。

ーーたしかに!ムサエフ選手の試合は、毎試合ハラハラドキドキしますがそこが凄く魅力的ですよね!アゼルバイジャンッ!!!
見てる方もスッキリしますね、生殺ししないですし。パウンドの打ち方にしても、空振りしたら背中向けちゃう勢いで全体重を載せてパウンド打ってくる、全ての攻撃に気持ちがこもってますよね。

ーーたしかに、ムサエフ選手のパウンドはもの凄い狂気を感じるパウンドです…!
全力でコミットしに行くムサエフも凄いですが、そこへあのタイミングでテイクダウンを取るジョニー・ケースもやっぱり只者ではないなってことが分かりましたね。試合自体は凄く短くて2分ちょっとでしたが、両者とも強いところを見せられた、両者の魅力が詰まった良い試合だったと思います。

ーーはい、大興奮の1試合目でしたね!では、そのまま2試合目も見ていきましょうか!
はいはい、見ましょう見ましょう。

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ーー最初からグローブを合わせないグスタボ選手…ここもドキドキしましたね!
これはグスタボの気合いの現れですよ。グスタボはまだ若いですからね。

ーー(プロフィールを眺める)…ほうほう、グスタボ選手が23歳で、ピットブル選手が33歳!10歳も年が離れているんですね〜!
グスタボは朝倉海より若いんですよ。天心の2コ上ですよ、考えてみたら。若いっすよ全然。その差が試合でモロに出ましたね。

ーー「その差がモロに出た」というのは…経験という事ですか?
経験値です。迂闊。不用意ですよね。

ーーむむむ!そこを詳しく教えてもらえますか…?!
グスタボが迂闊だった。グスタボの一瞬のミスをピットブルが見逃さなかったんです。グスタボが飛び膝もどきを見せるんですよ。その時、腕が下るんです。それと全く同じ事をもう一度やろうとしたんですよ。そこを経験豊富なピットブルは見逃さずパンチを合わせた、というか反応しているだけなんですが。もう一回見ましょうか。

ーーあ!本当だ!一瞬すぎて説明されるまで全然分かりませんでした。
これはピットブルが凄いんですよ。グスタボが迂闊で不用意、それに合わせるピットブルが凄い。前蹴りなのか膝蹴りなのか分からないし中途半端、その上ガードも開けている。5秒後くらいに同じことをしようとしたグスタボが不用意でしたね。ピットブルからしたら「さっき見たぜ、俺はそんなに甘くねぇよ」って感じでしょうね。左でショートフックを合わせているだけ、でも顎に的確に当ててるんです。グスタボが弱いわけではないですが、不用意なところを経験豊富なピットブルにやられた、それだけの話です。

ーーグスタボ選手からしたら「全然実力出せていないのに」ってことですよね、きっと。…き、厳しい世界ですね、トホホ...
そうですね。もう一回闘ったら、もしかしたら違う結果になるかもしれないですが、見れば見るほどピットブルが凄いなと思います。RIZIN.10でイアン・マッコールが堀口恭司に9秒でやられた試合に似てますね。

≫ RIZIN.10 堀口恭司 vs. イアン・マッコール 試合動画を見る

ーーこの試合見ましたが、解説・実況が始める前に試合が終わっちゃいましたね。何が起こったのか、スローで見るまで私には何が起こったのか分かりませんでした。。
イアン・マッコールが試合開始後すぐにワン・ツーを出すんですよ。それを堀口が捌いて、イアンがもう一度同じワン・ツーを出した瞬間に、堀口がそのツーに合わせたカウンターで試合が終わるんです。このレベルの選手には同じことを2回やるなよってことですよね。

ーーそれにしても、1・2試合目からこんな凄い試合を見せられて、その勝者が数時間後に決勝で対戦するとなると、それはそれは盛り上がりますよね…!
濃い内容でしたね。準決勝の2試合とも、勝ったやつが本当に強いんだなと思わされた試合でしたね。負けた方も決して弱くはないですから。そう考えると、この4人が良い感じに大会の火付け役になってくれたなと思いましたね。

ーーではそのままライト級グランプリ決勝も見ていきましょうか!
この試合もただポンと組まれるよりも、準決勝が同じ日にあったからこその緊張感だったと思いますね。空振り一つで会場が沸くんですから。それだけ期待感があるってことですから本当に凄いことですよ。

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ーー先程の1・2試合目と違って、試合が開始しても二人とも何も攻撃を出さないですね…。
ここはお互い警戒していますからね。これは決勝なので、焦って勝負を極めに行く必要がないからお互いじっくり観察しているんでしょうね。

ーーピットブル選手の右ストレートが当たる事を警戒して、ですか?
そうです。ムサエフが右ミドルを蹴ろうとすると、ピットブルは「右ストレートを出すよ」と、最初にメッセージを伝えていたんですよ。あ、でも蹴った。

ーー蹴りましたね!そこもムサエフらしくて素敵ですね…!
一回のやり取りでなんかこう空気がピリピリって引き締まるのが見えるじゃないですか。会場に居るとそこの空気感が伝わってくるし、この二人が作り出したこの空気って凄いと思いますよ。そういうのが出来る選手なんですよね。

ーーああっ!ラスト1分というところでムサエフ選手がモーレツなパンチを打ってきました!
ムサエフは最後の1分くらいから行くんですよ。ラスト10秒のパウンドの撃ち方だって「みみっちい事しねぇよ」っていう感じで思いっきり上から落としてますからね。思いっきり振りかぶって、勢いつけて殴りにかかってるじゃないですか。ムサエフはそこを選択する選手なんです。その分、逃げられる隙も多いんですけどね。

ーー隙が多い事を分かっていてもコミットして行くってことは…たとえ隙を突かれても対応できる自信があるということですか?
その分ミスしてもカバーできる体幹の強さだったり、そういうのを持っているんですよ彼は。ムサエフの試合がなんで面白いのかというと、隙が多いけど全力で行くところですよね。詰将棋みたいな試合をする選手はああいう動きが出ないんですよ。ムサエフって爆発力が凄いじゃないですか、だからテイクダウンに行って、行き過ぎて勢いで転がされちゃったりするんですけど、だから面白いっていうのがあると思うんですよね。

ーー2R早々にムサエフ選手がピットブル選手を投げ飛ばしました!がっ!ピットブル選手も立ち上がりました!
この『際』っすね。『離れ際』にムサエフがピットブルにパンチを打ってから離れてるんですよ。

ーー本当だ!立ち上がり際に左のフックを打ってますね!
そこの『際』をムサエフが一個いっこ取っていったのも勝因の一つなんじゃないかと思うんですよ。さっきの場面もムサエフがバックを取って無駄にエネルギーを使わず、『離れ際』で温存したエネルギーを打撃に変えているんです。

ーーなるほど〜!試合の中で無駄にエネルギーを使わない様に工夫しながら試合をしているんですね!
2Rの最後にも『立ち際』にトフィックが4発打ったじゃないですか。この『際』ですよね。でもこの後のピットブルも凄いっすよね。4発打たれた後にスッと何事もなかったかのように立ってムサエフに向かって行くピットブル、怖いっすよ…!もう一回見ましょう。

ーーおお!チャーリーさん、テンション上がって来ましたね…!
ほらほら、残り10秒で『離れ際』にムサエフが4発打って、ガードの上ですけどそれを受けたピットブルが、その後ガードを下げてズンズン歩いてくるんですよ。めちゃめちゃ怖いっすよ。「え?!」みたいな。笑

ーーパンチもらったのに、落ち着いていると言うか…貫禄が凄いですね、ピットブル選手…!
こういう選手をRIZINに出してくれたBellatorに感謝ですよね、本当に。

ーーそんなピットブル選手が負けてしまうなんて…予想できませんでした。。
たぶん最終的に何がモノ言ったのかというと、恐らく「スタミナ」でしょうね。ピットブルが2Rの後半くらいからちょっと失速するんですよ。

ーーそう言われると、最後の方はピットブル選手が少し疲れたように見えましたね。二人とも凄く激しい攻防を最初から最後までやっていましたもんね…。
ムサエフはバックを取ってもパウンド落としながら、後ろからマウント取りながら、相手に休む・考える時間を与えていないんです。やられている側からしたらすごく嫌ですよ、ひと息つく暇もない。このやり取りでピットブルは疲れたと思うんです。ムサエフのこの圧を耐え凌ぐのは凄く体力を消耗しますよね。

ーーなるほど。体力的な面と、チャーリーさんのおっしゃる『際』の面でムサエフ選手がピットブル選手を上回っていたんですね。
ムサエフは組んでいったり試合に変化を付けたりというのをやっていたんですが、最後の『際』で必ずパンチを当てたり嫌がらせをしていたんですよ。結果的にその『際』を一つひとつ取っていったのがこの試合の勝因になったと思いますね。

ーーまさに「際を制する者は試合を制す」ですね…!
『際』がキーになった試合はもう一つありましたね。第7試合の石渡伸太郎vs.扇久保博正戦。この試合も『際』がキーになった。『立ち際』『離れ際』に打撃を与えていたのが印象的でしたね。

ーーんーー!その話も伺いたいです!では次回はその試合を聞かせて下さい!
はい、良いですよ。

ーーそれでは皆さん!続きはまた次回~

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