7月29日(日)、さいたまスーパーアリーナで行われた『RIZIN.11』が大会を終えた。榊原信行RIZIN実行委員長が大会を総括した。
「今大会のMVPは五味隆典」
内容の濃い素晴らしい大会でした。そして、11回目にして最もトラブルが大きい大会でもありました。まずミルコ・クロコップ選手と那須川天心選手の怪我による欠場、そしてアンディ・サワー選手の出場辞退というトラブルやメルビン・ギラード選手のウェイトオーバーなど、いろいろありました。テレビ中継の影響による会場で休憩時間が1時間あったのは申し訳ないと思っています。イベントとして休憩時間の対応策は次回以降、検討します。
そうした様々な課題が出てきましたが、来場数17,912人。早い時間帯から会場に多くの人が集まって頂けたことでイベントとしての成功に確信を持ちました。
今回のMVPは五味隆典選手です。ギラード選手は体重を超過し、なんとか950gを落とそうと最後まで試合に出るために頑張りましたが、落とせませんでした。ファイトマネーを諦めて試合放棄することもできましたが、ギラード選手も諦めず、五味選手との試合承諾の折り合いを探り、なんとか実現することができました。
試合後の勝利者インタビューで五味選手がリング上で「日本の格闘技ナメるなよ」と言っていましたが、彼はプロとして体重を作ってこなかったことに怒りを表しました。そうした舞台裏がありながら、五味選手とギラード選手の素晴らしい作品に主催者として本当に感謝したいと思います。ただ命をかける仕事なので計量失敗の扱いや対応を海外の過去の例だったりを調べながら今後も対応していきたいと思います。
浅倉カンナ選手とRENA選手のメインカードですが、覚悟と決断を持って臨んだ両選手の(昨年、大晦日以来の)再戦は、RENA選手の進化にも驚きましたし、試合後に号泣している浅倉選手に胸を打たれました。浅倉選手はRENA選手に2連勝したことに、(RIZINだけでなく、女子格闘技をけん引していく)自覚と覚悟を背負って欲しいと思っています。2人のストーリーは一旦終わりましたが、これで女王が交代したのかはわかりません。浅倉選手にはRIZIN女子を背負う覚悟を持ってもらいたい。9月30日に行う『RIZIN.13』には浜崎(朱加)選手と黒部(三奈)選手の試合もあります。この試合の勝者との対戦やアリーシャ・ガルシア選手との再戦も考えていかなきゃならない。それから、RENA選手が試合後の記者会見で「普通の女性に戻りたい」という発言は、正直もったいないと思う一方で、同時に見守ってあげたいという気持ちもあります。(強力な)裏番組がありましたが、日本の“ジョシカク”が地上波放送のメインに流れたという事実は、紛れもなく彼女が作りだしたことだと思います。
石岡沙織選手vs山本美憂選手の試合も含め、女子の試合は男子に何ひとつ劣っていないです。すべての選手に覚悟がありました。「覚悟に勝る決断は無し」と思いました。