2015年12月31日 IZAの舞 第十一試合 スペシャルワンマッチ
1R
リング中央に立つクロンが片手クリンチで捕まえにいくと、アーセンは右アッパーを放って振りほどく。そしてサイドキックを飛ばす。
クロンはなおも片手クリンチからのパンチを飛ばしてくる。右手でアーセンをクリンチし左手でフックを連打するクロン。しかしアーセンはこれにタイ修行の成果を見せ右ヒザを返す。
クロンは左腕を差し込んでアーセンをコーナーに押し込む。アーセンは首相撲から右手でのパンチ、ヒザを放ち、クロンから体を離す。
アーセンはリングを左回り。そしてストレートを放つが、クロンはこれをかわしてグラウンドに引き込み、ここで腕十字。だがアーセンは体を回していきタップをせず、この技から脱出する。
クロンはなおも逃さずマウントポジションを取るが、アーセンはこのマウントを反転してクロンを下にする。クロンは三角絞めを狙うが、アーセンはボディにヒジを落とすなどして極めさせない。そして立ち上がる。
アーセンはステップしながら右ストレートを放ち首相撲からヒザを放つが、クロンはそこへ小外刈りを合わせてテイクダウン。
クロンは再びマウントポジションを取るが、アーセンはこれも反転して返す。下になったクロンは再び三角絞めのロックでとらえ、アーセンはバスターで叩きつけこれを崩さんとするが、逆に深く入ってしまい、無念のタップ。クロンが勝利した。
クロンのマイク
「チームのみんな、道場のみんな、そして父、沖縄の新しいチームのみんなの力がなければできませんでした。ありがとうございます。子どもの頃から日本で試合をしたいと思っていて、その夢を叶えてくれたRIZINに感謝します。また戻ってきたいです」
クロン・グレイシー試合後コメント
―試合を振り返っての感想は?
すべての物事は瞬間、瞬間だと思います。自分のバックボーンは柔術ですが、いろんなトレーニングをすることによって、高いレベルの選手になろうとつねに努力をしています。それで自分に安心ができるわけです。もちろん、試合に勝ちたいと思いますが、自分は勝ちに執着することはなく、正しい生き方をすること。また、つねに自分に試練をもたらして、それを越えられるかを確認するのが、自分の生き方です。なぜトレーニングを積むかというと、リングに足を踏み入れたときに安心したいのです。結果が悪くても、自分が「あんなにトレーニングしたから」と思えれば、それはそれでいいのです。それは日常生活においてもポジティブな面を引き出しますし、そういう人生を送っています。
―ニック・ディアスとネイト・ディアスからどんなアドバイスをもらっていますか?
よく覚えてないですが、4年くらい一緒に練習をしています。じつはすべてのファイターは自分が何をすればいいかわかっていると思うので、彼らもあれこれいう言うことはありません。ただ、一緒にトレーニングしてくれるのです。そういう関係に身を置くことで、より自分自身を表現できるようになります。いまの仲間を尊敬しています。そういう人たちとトレーニングすることで、自分がよりよい人間になってると思います。自分よりうまい選手たちと一緒にいることで、MMAの技術だけではなく人間的にも成長します。トレーニングに比べて試合は小さなものです。結果よりも、そこに至る過程が重要だと考えています。
―天国のホクソンが喜んでいるのでは?
もちろん、喜んでくれていると思います。ただ、彼はきっと、その前から自分に対して幸せを感じてくれていると思います。私がこういうことをするのを、ずっと前から知っていたと思います。ただ、自分としては亡くなった兄のために試合をするということではなく、もっと大きなものを見ています。兄にささげる試合をするというのは自分の中では終わったんです。以前はそうでした。でも、そうなると勝たなければいけません。しかし、自分の中では勝つことよりも大事なことがあります。どんな結果になったとしても、兄の魂は時空を越えて自分に届いています。自分は光を求めて戦いたいと思っています。光を照らすような試合をしたいです。
―対戦相手の山本アーセン選手の印象と、試合でピンチだった場面は?
みんなが予想していたより、いい試合をしたと思います。彼は非常にタフでした。自分は強い相手と練習しているからこそ、彼が強いことがわかるわけです。ふつうの選手なら極まるというアームロックを、アーセン選手はタップせずに抜けました。凄いと思いましたし、彼のことに誇りを持っています。「これはアームロックではギブアップしない」と思い、チョークスリーパーに変えました。これからアーセン選手はどんどん強くなっていく、楽しみな選手だと思います。
山本アーセン試合後コメント
―試合の作戦は?
作戦的にはヒットエンドランです。でも、捕まっちゃったので悔しいです。あと、もう少し踏み込めたらパンチできたかなって。考えたら悔しくて泣きそうになるんですけど、いい経験になったのでよかったです。
―アームロックの極まり具合は?
極まってたと思います。でも、これなら抜け出せるなと思って。意外と冷静でいられたので、練習した甲斐があったと思いました。
―バスターについては?
それが最大のミスでしたね。控室でも「あれは立ったところまでは正解だったけど、揺らして落とすのが正解だったよ」って言ってもらいました。
―2日通してベストバウトという声もありますが?
やったー!(笑)。自分的には悔しくてしょうがないですけど、僕の試合で興奮してもらえたなら、こんな光栄なことはないです。
―今度はレスリングをメインに活動されますか?
レスリングでいこうと思っていますが、家で風呂入ってるときに「あれ、もう1回やりたいな」と思ったらわからないです。自分のやりたいことしかやらないので。
―練習してきた部分はどの程度、出せましたか?
これはクロン選手を侮辱しているとかではなく、自分的には思った以上に「こんなもんかな」という感じでした。大きく想像しすぎていたというか。足の踏み込みさえ練習すれば当たったかな、ちょっとは動けたかなと思いました。でも、よくわからないです。まだ終わったばかりで頭の整理ができていません。
―MMAでレスリングにフィードバックできる部分は?
ちょっとヒザ蹴り入れてやろうかな、と(笑)。
―グレイシー一族は大きな存在でしたか?
小さい頃、格闘技の意味もわからない頃から知っていました。僕の頭の中にはいつもいる家族でした。
―クロン選手が凄く褒めていましたが。?
マジですか、あとでお金払っておこう(笑)。
―リベンジは考えてないですか?
まだ、頭の整理ができてないので、落ち着いてから考えます。