2月26日(月)、東京都内でRIZIN FIGHTING FEDERATIONが、来たる5月6日(日)、マリンメッセ福岡で開催する『RIZIN.10』に関する記者会見を行なった。
今回の会見には榊原信行RIZIN実行委員長、一時帰国中の堀口恭司の2名が出席。昨年末、バンタム級グランプリでぶっちぎりの優勝を果たした堀口は、『RIZIN.10』でイアン・マッコールとのワンマッチに臨むことがすでに発表されている。先日の記者会見では『またRIZINで試合をできることができて本当に嬉しい。堀口の様なハイレベルな選手と試合をができることに対してモチベーションが高く、楽しみにしている。まだまだ本当の力を見せられていないから今回の試合で本当の僕を見せたい』とコメントしたマッコール。昨年末は同じバンタム級グランプリの2回戦でマネル・ケイプのひざを顔面にもらい、大量出血によるTKO負け。元UFCトップファイターとしてのプライドをズタズタに引きちぎられたマッコールが、同じ世界トップレベルの堀口との戦いで本来の実力を見せつけるべく、今から気合充分だ。
そのマッコールとの対戦について、堀口は「福岡で初めて試合で、しかも相手がイアン・マッコール選手というUFCでトップでやっていた選手なので、しっかりといい試合をして、きっちりKOか一本で決めたいと思います」と完勝宣言。さらに「グランプリで当たるはずだった。マネル・ケイプ選手以上に対策はしていたのでいい試合ができると思う。前回はマネル・ケイプ選手が挑発して、マッコール選手が上手く乗ってくれた(笑)。ケイプ選手が頭脳戦、頭を使ったのかなと。でも自分はちゃんと実力で見せたい。あの試合で彼の価値は全然落ちないです。はっきり言ってあれはカットという事故でもあるじゃないですか? 実力が出し切れてない。UFCという自分と同じ舞台で戦っていて、凄く結果も残してるし、凄い選手だと尊敬していますね」とマッコールへの敬意を付け加えながらも、マッコール評を聞かれて「バリバリ、レスラーっていう感じ。自分の打撃には付き合わずに寝かしてくるだろうと思う。もちろん対応できます」と自信を見せる。
この一戦は「堀口恭司にメインを託す」(榊原委員長)とメインイベントで行われることが確定。このことについて堀口は、「しっかりとメインの仕事をしないとな」と気を引き締めた。
そして、今年は「怪我がなければ(RIZINの大会に)全部出たい」という堀口は、「いろんなこと、新しいことにどんどんチャレンジしていこうかなと思います。イアン・マッコール選手に勝って、自分のキャリアの中で、いろいろなルールの違いだったりにどんどん挑戦していきたいなと思っています。まあ、(総合ルールから)外れたり。(キックのルールとか?)そうですね」とコメント。ここでファンや関係者の間で期待されている那須川天心とのキックルールに試合の実現について聞かれると、「当然。やっぱりやりたいですね。それをやれば日本が凄い盛り上がると思うんで、自分はやりたいです。それをやって盛り上がらなかったら『うん? 意味ないのかな?』ってなっちゃうんで(笑)」と断言。そのモチベーションは「日本の格闘技を盛り上げたいから」というものからきているようだ。
一方の那須川はかねてより堀口について、「今まで自分が戦ってきた選手よりも強いと思う」と評しており、そのことについて聞かれると「わかんないです。なんとも思わないです」とコメント。だが、「勝つ自信はあります。もともと空手をやってたんでいつもと戦い方は変わらない。そこにタックルがないとか組まないとかそういう感じですから。(グローブの違いは)関係ないです。当たれば倒れるんで」と並々ならぬ自信を見せた。
この対戦について榊原委員長は、「それぞれの思いもあるし、ファンの思いもあるし、主催者としての考えもある。5月の大会でどんな熱が、どんなふうに生まれてくるのかというところによると思う。総合でのグランプリというのも考えていますし、その中でそのタイミングそのタイミングで一番旬なもの、ファンが見たいものを、少し前倒しで出していくくらいじゃないと熱って生まれてこないと思う」と含みを持たせたコメント。だが、「5月のイアン・マッコール戦の結果にもよると思うし、天心選手も5月に試合をしますので、その結果を踏まえながら今年の後半に向けてのグランプリの方向性を決めたい。その中で堀口vs天心というのがワンマッチで実現する。それはキックルールになるのかもしれない。そういうことも含めて5月の開幕戦が、新しい未来に向けたテーマを作り出してくれるのかなと。そういうふうに注目して観ていただけたらと思います」と実現の可能性を示唆してみせた。
その注目の那須川天心については、「(5月の福岡で)怪我の具合もありますが、『5月はぜひ』ということで参戦は決定している。対戦相手を今週、来週で決めて3月11日のチケット一斉発売前には発表できればと思っています。対戦相手は、日本人と外国人の両方で考えている。RIZINらしいカードが組めたら。『天心とこの選手の試合が観たいんだ』というフィールドの中で、 熱を作っていけたら」と、『RIZIN.10』出場は決定的であるようだ。
また、この日は5月6日『RIZIN.10』の追加対戦カードとして、キックボクシングルール(51.5kg)による石井一成vs栄井大進を発表。
“東の神童”が那須川天心ならば、“西の神童”はこの男と言わしめる石井だが、昨年のRIZIN福岡大会でまさかの判定負け。「前回のRIZIN福岡大会でたくさんの応援団を前に負けてしまったので、かならず今回の福岡大会でリベンジする気持ちで勝ちにいきます。成長した姿を見せますので応援よろしくお願いします!」と必勝を期したコメントを寄せている。対する栄井大進は石井と同じ大学生ファイターで、若い選手に積極的にチャンスを与えていきたいというRIZINの意向で参戦が決定した。その栄井は今回の出場にあたり、「石井選手はとても注目されている選手ですし、完成度がとても高くこの階級のトップクラスだと思います。ですが、自分のほうが勝っている部分もあるので、ここで勝って名前を知ってもらえたらと思います」と、こちらも熱い意気込みで臨むことをコメントで示してきている。
《『RIZIN.10』決定対戦カード》
キックボクシングルール(51.5kg):3分3R/インターバル60秒
石井一成(東京KBA) vs 栄井大進(TARGET)
堀口vsマッコールという世界最高峰のメインイベントをはじめ全12試合で行われる5月6日『RIZIN.10』福岡大会。やはり、今後の格闘技界を占う上で見逃し厳禁となることは間違いないようだ。
チケットはいよいよ3月11日(日)に一斉発売となる!
以下、会見後の囲みでの榊原委員長のコメント
榊原信行RIZIN実行委員長
「規格外のことにチャレンジしたい、もう一回日本の格闘技を盛り上げたいという気持ちが堀口選手の中にある。盛り上がるのだったらいろんなことにチャレンジしたいと。その中で弱冠19歳でこれだけ結果を出している那須川天心という大きくなってきている存在が堀口選手の視界に入ってきたんだろうなと思う。もともとお互いに空手をベースにした者同士で、そういう意味での流派の違いみたいなものも含めて戦ってみたいと言っていた。ただ、現時点で総合ルールでやるというのは『ないですよね』と堀口選手も言っている。天津選手側のルールに挑んででも戦ってもいいと思っている相手だということだと思う。
RIZINができた時からキックの試合というのは、武尊選手だったり、HIROYA選手の試合を組ませてもらったりしていたんですね。リングでやるということのアドバンテージというのは、総合の試合もやれれば、キックもやれるという。これしかやらないよ、このルールしかダメなんだ、この階級で、とかそういうものにあまり縛られたくない。新しいチャレンジがしたい、それはRIZINに課せられたテーマだとも思う。形として、プロモーションとして、ルールも何もガチガチに決まっちゃったものを(やるつもりはない)。今更UFCがルールを変えたり、階級を変えたりっていうのはなかなかしないだろうし、そういう変化をあえて主催者なり団体自体がしていかないと、競技も進化しないし、選手も活性化していかないと思うので、僕らは照れずにいろんなチャレンジをしていきたい。その一つがキックをやるということ。天心選手のようなキックの中からスーパースターが生まれてきたのであれば、彼を中心としたグランプリ何なりがあってもいいじゃないかなという気がしています。キックと総合を併催というか、同時に同じフィールドでやっていくというのはこれまでと変わらずやっていきたいなということです。当分、幕の内弁当、ごった煮状態で、RIZINを観にくると、いろんなルールの試合が観られる。当然、グラップリングの試合も、ファンの人たちに見てもらいたいと思うものが作れれば、これからも組んでいくことになるだろうなと思います」