「堀口選手はバケモノですよ。だから、もう行ききっちゃいたいですよね。どうせやるなら。」
──所選手、バンタム級トーナメント出場が決まりましたね。今回の参戦は1回戦で対戦する堀口選手ありきで決められた部分はあるんですか？
所 そうですね。最初榊原さんから「どうだ」と声をかけてもらって、それから随分周りと相談したんですけど、堀口選手だからチャレンジしたいと思いました。
──コンディションのこともあってセコンドや家族は反対したという話が会見でありましたが。
所 反対されましたね。それでも自分は挑戦したいという気持ちがありました。なので、グランプリに挑戦するのはこれで最後になります。そして、そのグランプリで今一番強い選手に挑戦するということで決めました。
──なるほど。そこは最後の挑戦という強い意思があったんですね。「今一番強い選手」という発言もありましたけど、改めて堀口選手に対してはどういう印象をお持ちですか？
所 UFCに行った時、「いいなぁ」「カッコいいなぁ」って思ってました。UFCでチャンピオンになって欲しいと思っていた選手なんですよ。
──普通に応援していたんですね(笑)。
所 応援していた選手ですね。まさか自分がその対戦相手になるとは思いませんでした。
──堀口選手もKrazy Beeにいましたし、つくづくあのジムとは縁がありますね。
所 縁があるんですよね、きっと(笑)。ここまで来ると。
──でも、トーナメントに出るのは最後と先程仰ってましたけど、やはり年齢的にもうそろそろこういうハードな闘いはいいかなというのがあったんですか？
所 そうですね。40歳を超えても、ワンデイトーナメントで3試合する選手もいますし、憧れますけど難しいですよね。
──日々、そういう年齢を重ねてきてのしんどさを感じたりするんですか？ 見かけは若い頃とあんまり変わらないように思うんですけど。
所 いやいや全然！ まず疲れが取れにくいっていうのはありますよね。1日がんばっちゃうと2～3日はその疲れを引きずってしまうこともあって、「あれ、おかしいな」っていう日もありますし、ケガの治りも遅いですよね。あと今回のようなオファーをもらった時に、例えば昔の（アレッシャンドリ・フランカ・）ノゲイラとやる時なんかは「全然やります」って感じでその場で返事できたんですけど、ちょっと年を取ってきて、臆病になっているなっていうのは感じましたね。特にそれは今回、凄く感じましたね。
──臆病になっている。でも、そこを一歩踏み出したわけですよね。
所 もう踏み出したら行くしかないので、火が点いたというか、行ききっちゃうしかないので。やることが決まったのに「ああ、どうしよう」なんてやってたら、あんなバケモノに勝てないんで。
──堀口選手はバケモノですか(笑)。
所 バケモノですよ。だから、もう行ききっちゃいたいですよね。どうせやるなら。
──でも、ノゲイラ戦はもう12年前じゃないですか。所選手はあの試合で一気にブレイクしたわけですけど、12年経ってもまだこういう大一番というか、強い選手との対戦機会が巡ってくるんですから、それは凄いことだと思いますよ。
所 恵まれてますよね、本当に。僕より強い選手がいっぱいいるのに、RIZINという大きな舞台に出させてもらって、こんな世界的に凄いスーパースターの堀口選手とやらせてもらえるのはありがたいですよね。本当にありがたいなと思います。
──でも、所選手は昔は常にチャレンジというか、上の選手に挑んでいくという試合が多かったですけど、ここ最近は歳下の若い選手を迎え撃つことも多くなってきたじゃないですか？ 今回もそうですけど、どのような心境なんですか？
所 まあ、最近は自分よりも歳下の選手とやることが多いですから、そこに関してはなんとも思わないですね。堀口選手はUFCでタイトルマッチをするような選手だし、日本でも修斗やVTJで本当に凄いっていう試合を見ていたんで、そんな選手に挑戦することに関してはやりがいを感じますね。
──でも、思わぬところで大物食いをするのが所選手の格闘技人生ですから。ファンの期待も高いと思いますよ。
所 そうなるようにがんばります。僕のファンの方でそう思ってくれている人がいるなら、その理想的な展開になるようにがんばりたいですね。
──なるほど。では、堀口選手以外でグランプリへの参戦が決まった選手に関してはどう思いますか？
所 もう全然何も考えてないです。頭にあるのは堀口選手のことだけですね。大塚選手は昔から強いのはわかってますし、同じトーナメントに出るんだなぁって思います。石橋選手は今日初めて会いましたけど、凄い選手ですよね。まあ、僕はそこ関係なく堀口選手だけなんで。
──まずはそこだけに集中しないといけない相手。
所 そうですね。他の選手のことは考えてないですね。7月30日が終わるまでは。
──では改めて、7月30日当日ファンの方にどのような姿を見せたいですか？
所 本当にグランプリ最後の挑戦ということで、全部出しきりたいです。パッとパンチで終わっちゃう試合とか、自分の力が出させて貰えない試合になっちゃうかもしれないですけど、自分の持っているものを全部出してリングを降りたいです。そのためにもがんばります。