格闘技人生を賭けてUFCからRIZINに参戦してきた川尻達也。昨年大晦日、初陣でクロン・グレイシーに敗戦した雪辱を今夜、果たしたい。対するはこちらも元UFCの強豪、アンソニー・バーチャックだ。

1R、右ロー、左ハイでプレッシャーをかけていく川尻に、バーチャックは両足タックルでテイクダウンにいくが、川尻はバックに回りスタンドへ。そのまま両足で胴をロックする川尻の両ひざにひじを落としていくバーチャック。コーナーを背にした川尻は顔面にパンチを当てながらバックチョークを狙うが、バーチャックは川尻の足のロックをほどくことに成功する。しかし、両足タックルでテイクダウンした川尻はパウンドで追撃するが、バーチャックは下から腕十字を取りにいく。下から顔面にひじを入れてくるバーチャックに川尻は鉄槌。1Rが終了。

2R、バーチャックが飛びヒザを繰り出すが、川尻がタックルでテイクダウンするとマウントポジションを奪取。パウンドを入れながら川ちゃん固め(肩固め)にトライしようとするがバーチャックは懸命にディフェンスする。2Rは終始、川尻がパウンドを打ち落として試合終了のゴング。判定3-0で川尻が完勝をおさめた。

試合後、マイクを取った川尻は「一本取れなかった、ごめん! 今、僕のジムの仲間がまだ二十歳の年齢で白血病で戦ってます。絶対に負けずにジムに戻ってくると約束してくれました。だから僕もしがみついてでも何してでも勝ちたかった! ダイキ、次はお前だ! とにかく勝つぞ! いいか! 今日はご来場ありがとうございました! まだまだ強くなります。応援お願いします。RIZIN最高!」と絶叫した。

川尻達也 試合後インタビュー

──試合の感想をお願いします。

川尻 とにかく勝ちたかったんで。1年半ぐらい勝ってなくて、3連敗してたんで、試合前はとにかく負けるイメージしかなくて。今まで自信をもっていけたところもいけなかったりとか、本当に自分との勝負でしたね。セコンドからも緊張が伝わってきたんですけど、とにかく勝ちたいなと思って、言いたいこともあったし。今は勝てて本当にホッとしています。

──試合後に家族とは話をしましたか?

川尻 はい。娘と会って抱きしめました。大きな声で応援していたみたいです。

──娘さんとはどのようなお話しを?

川尻 おめでとうって。ずっと欲しかったRIZINの勝利者トロフィーをプレゼントしました。

──今の気持ちは?

川尻 ホッとしたのが一番ですね。伝えたいこともあったんで。とにかく勝ちたかったっていうか、何が何でもっていうか、僕はそれしかできないんで。必死に勝つ姿を見せることしかできないし、見ている人はつまんなかったかもしれないけど、とにかく勝てて良かったです。

──前回の敗戦では心が折れているようなところはあったんですけど、今後はどうしたいですか?

川尻 今後は勝って、久々に調子に乗ってやろうかなと思っているんで、7月のさいたまスーパーアリーナも出るつもりでいるんで、見ている人はTwiterとかで榊原代表に「川尻出せ」っていうリプライを1人3回やってほしいですね。7月も秋も年末も全部出るつもりなんで。RIZIN熱いですね。すげえ選手いっぱいるし、すげえ楽しい。でも、俺もやっとそこの一員になれたと思うし、まだまだくたびれるわけにはいかないんで。RIZINに俺が必要だという気持ちでどんどんアピールしていきたいと思います。

──1ラウンドはガードの中から殴る展開がありましたけど、堅くいこうという考えだったんですか?

川尻 あんまコツコツやりたくなかったし、相手も下から得意なのかなと思って思いっきり頭殴ろうと思って。普通あれをやるとクロスガードを解いて、オープンガードになったところをパスするんですけど、相手が解かないんで、オープンにならなかったんでどんどん殴ろうかと。ダメージも見た感じ手応えもあったんで、このままでもKOできるかなと思って。

──あの展開は修斗時代から得意でしたよね。

川尻 そうですね。思いっきり殴ってやると思ってたんで、殴ってやりました。

──2ラウンドはマウントからラッシュを仕掛けていました。

川尻 あのままKOしたかったのでとにかく全力で殴ろうと思ってました。少しでもKOに近づけたいなと。チャンスがあれば川ちゃん固めで一本取りたかったんですけど、取れなかったですね。

──2ラウンド、最後の30秒でマウントポジションの状態で、相手が下から打ち込むという試合の形は珍しかったですね。あの時、どう思いましたか?

川尻 さすがにマウント取った状態で下から殴られても効かないというか、ダメージはないんで。でも、見ている人はおもしろいと思うし、バーチャックの意地っていうか、「このままじゃ終わんねえぞ」という気持ちが伝わってきて、俺もそれに応えて全力で殴ってやろうと思ってああいう結果になりました。

アンソニー・バーチャック 試合後インタビュー

──試合の感想をお願いします。

バーチャック ハハハハハ……。自分のパフォーマンス、試合運びにがっくりしているわけではないんですが、どういったところにフラストレーションが溜まっているかと言ったら、勝てる相手だったというところが強いです。どういった試合運びをしてくるかわかっていたので、自分としても積極的に攻めていった印象があります。

──どういうことをやってくるかわかっている状態で、自分の中でうまく試合を運べなかったということでしょうか?

バーチャック どんなポジションにいても攻めていこうと思っていたので、とにかく下から攻めていました。川尻選手のほうが上になった時は彼のパンチをかわすこともありましたが、かなりの数を受けてしまいました。立ち技のときはそこまでではなかったと思うんですが…。勝てる相手でしたので自分自身に腹を立てています。ただ、今回はウェイトアップをして臨んだ試合でした。ウェイトアップして試合に臨む選手は多くはないと思うので、その点では自分に誇りを持っています。

──次のRIZINに向けてどういった選手と闘いたいですか? 同じ階級の選手ですか?

バーチャック 135パウンドで自分ほど力もあって、柔術のバックグラウンドのある選手もいないなと思うんですね。ですから、135パウンドで初のチャンピオンを目指したいと思います。