12月29日・31日にさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYS」。11月30日の会見では、大会の中核を担う企画として二日にわけて行なわれるトーナメントの出場8選手中、7名が参加し、注目の一回戦の組み合わせ抽選会が行なわれた。
※トーナメントに出場予定だったBAMMA ヘビー級王者のマーク・ゴッドビアーは、練習中に首を痛めたために欠場。後日、BAMMAが決定した推薦選手が参戦することに。
まず、抽選会に先駆けてRIZIN FF実行委員長の榊原信行が、「日本発世界のRIZIN FF、そのハイライトが世界の格闘技プロモーションを代表する選手たちのトーナメントです。ここを飛躍の舞台にしてやるという気概を持った選手が揃いました。日本の記者も大半の選手のことは知らないかもしれませんが、1993年にK-1が始まった当時もブランコ・シカティックやマイク・ベルナルドは知られていなかった。新しい扉を開くのは、躍動する選手たちのファイトです」と語り、ニュースターの誕生に期待を寄せた。
そして、ゴッドビアーを除く出場7選手が登場。抽選方法は、まず各選手が自分の名前の日本語表記順に、榊原委員長の持つ1~7の番号が書かれたカードが入った封筒を引く。そして、その中に入った番号順に、トーナメントBOXに書かれたA~Hまでの枠を選ぶというもの。
※余った一枠には後日発表されるBAMMA ヘビー級王者が入る。
封筒に書かれた順番、およびアルファベットを選ぶ直前の各選手のコメントは以下のとおり。
■1番目=キング・モー
「RIZIN FFで試合ができることを光栄に思います。みんなの前で自分の技術を見せることが楽しみで、あとはやるだけです。1番目という、いい数字を引けたのはうれしい。あとから対戦相手に選ばれる立場になったが、自分はドンと構えて待っています」
※Aをセレクト。
■2番目=テオドラス・オークストリス(BUSHIDO 欧州 王者)
「こういう機会を与えていただき感謝します。こういう高いレベルのトーナメントは誰、とでもやる覚悟がないといけないので、相手は誰でもいいです」
※Cをセレクト。
■3番目=ゴラン・レリッジ(元KSW ライトヘビー級王者)
「対戦相手は誰でもいいです。自分にとって大切なのは日本で戦うことで、自分にとっての子どもの頃からの夢が叶うので、精一杯の戦いを見せるだけです」
※Gをセレクト。
■4番目=石井慧(北京五輪 柔道金メダリスト)
「準備はばっちりだ。戦いが戦いと思わなくなる戦い、いよいよ年末の戦いが始まる」
※Eをセレクト。
■5番目=ブルーノ・カッペローザ(JUNGLE FIGHT 100kg級 王者)
「じつはここにいる選手をホントによく知らないので、自分の運に任せて選手を選びます」
※Dをセレクト。
■6番目=ワジム・ネムコフ(MMA UNION ヘビー級 王者)
「気分は最高です。今回、日本に招いていただきありがとうございます」
※Hをセレクト
■7番目=イリー・プロハースカ(GCFチェコ ライトヘビー級王者)
「“サムライ”というスピリッツを生んだ国で、自分の力を披露できることがうれしいです。一生懸命がんばります」
※Fをセレクト
結果、トーナメント1回戦は第1試合がキング・モーvsBAMMA推薦選手、第2試合がテオドラス・オークストリスvsブルーノ・カッペローザ、第3試合が石井慧vsイリー・プロハースカ、第4試合がゴラン・レリッジvsワジム・ネムコフに決定。
この抽選会の模様を興味深く見つめていた高田統括本部長は、「非常に懐かしい、心地よい緊張感を味わっています。どんな“まだ見ぬ強豪”が出てくるか、期待が高まる一方です」と、熱のこもったコメント。さらに石井に対して「やはり日本代表として、“石井慧ここにあり、日本人ここにあり”という姿を見せてほしい。石井選手の最初のブレイクは金メダルです。でも、総合に転向してからの代表作はまだ見ていません。ぜひこの大きなチャンスを掴んでほしいです」「来年の頭から“カープ女子”や“相撲女子”じゃないですけど、“石女(いしじょ)”が生まれたらハッピーです(笑)」と、発破をかけた。
なお、今回のトーナメントのリザーブマッチとして、エメリヤーエンコ・ヒョードルから高評価を得ているというワレンティン・モルダフスキー(ロシア)と、内田雄大(ALLIANCE)の一戦も発表。今回の会見は内田のみが登壇し、コメントを残した。
「このような機会を与えてくださったRIZIN FF関係者のみなさまに感謝しています。新参者ではありますが、バックボーンの空手の強さ、僕の強さを見ていただければと思います」(内田雄大)
その後、1回戦の対戦相手が決まったトーナメント出場者が、それぞれ試合に向けた意気込みを語った。
「現在、自分の相手はいないですが、BAMMAが自信を持って推薦する選手が来ると信じています。でも、来たとしても残念な結果になります。覚悟していてください。石井選手が自分を避けて違うブロックにいったのは、ラッキーなことです」(キング・モー)
「私がここにいる理由は自分を信じているからです。リトアニアを背負って戦いたいと思います。相手は打撃も強いですが、負ける要素はありません。おもしろい試合をして勝ちたいと思います」(テオドラス・オークストリス)
「日本で戦うのは夢でした。対戦相手のことはよく知らないですが、二人とも準備万端の状態で、すばらしい試合になると思います」(ブルーノ・カッペローザ)
「日本の代表として、IGFの代表としてがんばりたいと思います。相手のことはこれから研究していきたいと思っています」(石井慧)
「全員、強い選手だと思います。ここ日本は石井選手の母国でもあるので、自分の選択はたいへん注目されると思います。これは人生のチャレンジになるので、一生懸命がんばるつもりです」(イリー・プロハースカ)
「私が戦うのは相手は、いい選手だと思っています。なぜなら、私はサンボの世界王者と何度も練習していて、サンボのファイトスタイルをよく知っているからです。彼はすばらしいチームでこの試合に臨むと思いますが、私も準備万端にするので、いい戦いになることは間違いないでしょう」(ゴラン・レリッジ)
「私はサンボを代表する人間です。サンボの“美”をあますところなく披露したいと思います」(ワジム・ネムコフ)
続く質疑応答では、やはり注目株の石井に質問が集中。石井は今回の参戦経緯について、「いいオファーだったということに尽きます。トーナメントという貴重な機会、強い選手の参戦、そしてファイトマネー」と語り、「優勝を意識しすぎると空回りして、いい結果に結び付かない。あまり先のことを考えずに、まずは1回戦に集中してやっていきたいです。アントニオ猪木会長からはとくに何も言われてないですが、毎回会うと『タウリンは飲んどけよ』と言われるので、しっかり飲んでおきたいと思います(笑)」と、笑いを交えながらコメント。
今回のトーナメントの賞金総額は、格闘技界でも破格の6,000万円(50万USドル)。会見の最後、全選手に優勝賞金4,000万円の使い道について質問が飛ぶと、それぞれ思い思いの回答が返ってきた。
「とてつもない金額です! まずアイスをたくさん食べて、いい服来て、ディズニーランドに行って、映画もたくさん観たいと思います。あとはラスベガス旅行や、金ピカの物をたくさん買って身につけたいと思います」(キング・モー)
「私にとって大切なのは賞金よりもチャンピオンになること。お金はあとからついてくるものなので、まずはチャンピオンになります」(テオドラス・オークストリス)
「ビッグマネーをつかめば、私と家族の人生が変わります。それとチャンピオンになること。そのふたつはとても意義があると思います」(ブルーノ・カッペローザ)
「賞金に関しましては、半分は自転車とモーターボートと馬に投資しまして、もう半分は寄付いたします」(石井慧)
「金額を言われても漠然と感じるだけです。お金はあとでついてくるものなので、私はまずRIZIN FFからのすばらしいオファーに対し、全身全力で戦うのが大事なことだと思います」(イリー・プロハースカ)
「子どもの頃からPRIDEを見ていたので、日本で戦うことに特別な気持ちがあります。まずはお金のことよりも、自分が夢に向かって生きていることを噛みしめながら試合をします。夢が叶ったら、その先のことはあとから考えます」(ゴラン・レリッジ)
「いますぐ即答するのは難しいことです。まずは勝つことを考えたいですが、家族のために家を建てたいとは思います」(ワジム・ネムコフ)
「まずは勝つことが前提なのですが、4月に子どもが生まれるので家がほしいです」(内田雄大)
大会まで1カ月を切り、ついに1回戦のカードが決定したトーナメント。世界各国を代表するファイターたちの凌ぎあいは、年末決戦をどのように彩ってくれるのだろうか?