先月の会見で高田延彦統括本部長から29日の第一試合を提案された髙阪剛。「ほかの選手にやらせたくない」と、RIZINの幕開けにかける熱い思いを語った。

—今回、現役復帰を決めた理由は。
2006年に一旦現役を引退しましたが、その時から戦いたいという思いが消えることはありませんでした。頭ではわかっていたけどずっとどこかウズウズしていて。でも、競技のほかにもやらなくてはいけないことがあって、100パーセントで試合に挑めないなら戦うべきではないと思っていました。でも40代になった頃から、競技もそれ以外のこともバランスよく考えられるようになった。この「戦いたい」という思いをなかったことにするのか、それとも一歩踏み出すのか考えて、試合のための準備をすることにしたんです。

—何かに導かれるように出場が決まったと会見でおっしゃっていました。
昨年10月くらいから準備を始めて、春先には復帰できるまでコンディションを戻すことができていたんですが、ちょうどその頃榊原さんがまた格闘技の世界に戻ってくると風の噂で聞いたので、「実は自分も復帰を考えている」と間接的に伝えてもらったんです。会って話したら、お互い格闘技を拭い去ることができなかったという部分で共鳴して。空白の期間も、どこかつながっていたんだなと感じましたね。

—ラグビー日本代表のスポットコーチ経験も、背中を押してくれたそうですね。
南アフリカ戦の頃、ちょうど僕もRIZINに出場することが最終的に確定した頃でした。ジャパンの選手たちの姿を見て、自分自身の気持ちもしっかり前に向かって進む状態になれたことは間違いないですね。努力した選手には必ず結果が与えられるのだということを、彼らの試合を見て改めて感じました。

—対戦相手のジェームス・トンプソンに対しては、どんな印象がありますか。
僕の希望は単純明快で、「戦い合いができる選手」なんです。競技としての試合という要素ももちろん存在していいと思うけど、自分にとってはリングで人と人がすべてをさらけ出して戦い合うというところが格闘技の魅力。それができる相手としてご提案をいただきました。申し分ない相手だと思っています。

—先月のカード発表会見中、高田さんの提案で第一試合に決定しましたが、それに対しては。
会見で高田さんのお話を聞きながら、過去のいろんな思いが巡ってきましたね。高田さんが「止まった時計」という表現をしていた通り、時計の針が指で押さえられて動けなくなったような状態だったわけです。その指を外す役は、ほかの選手にやらせたくねぇなという思いがあの時込み上げて来たんですよ。高田さんや榊原さん、そして自分自身の格闘技への愛情を強く感じた瞬間でした。

—復帰戦を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
まずは、RIZINが生まれたことを、素直に、からっぽの状態で受け止めてもらいたい。そして、その場にいてほしい。どエラいものを見せる自信が自分にはあります。同じ空間にいてこそ感じられるもの、肌で感じるものは必ずあるはずですから。