「いろんな思い出が詰まったレインボーホールで、このRIZINの1回目の大会をやることができたことを、本当にうれしく思っています」

榊原  名古屋の地からスタートするってことは、個人的な思いも含めて、髙田延彦さんと1996年に初めて出会って、最初のPRIDEのきっかけになった夜が名古屋だったんですね。その日もレインボーホール(日本ガイシホール)で、当時のUWFインターvs新日本プロレスの全面対抗戦という。ちょうどそのころ鈴木健さんに騙されまして、「名古屋で全面対抗戦やる、新日も出てくる」って言ったんですよ。それで、そういう話で東海テレビでやったら出てこやしないんですよ新日の選手が(笑)。で、出てきたのは藤波辰爾さんでしたね、あと藤原(喜明)組長も出てきました。「新日本はどこに行ったんだ?」みたいな(笑)。

まあ、そんなことがきっかけで、髙田さんとの出会いがあり、そして、1994年の12月に「K-1 LEGEND ~乱~」という大会もレインボーホールでやらせて頂きました。自分が格闘技のビジネスに関わらせて頂くのは、東海テレビ時代にK-1の大会を石井館長に言ったことがきっかけで。これ、日本でK-1の最初の地方公演で、じつはテレビで放送されたのも東海テレビが最初なんですね。フジテレビでの放送がスタートではなくて、東海テレビがスタートなんです。で、その「K-1 LEGEND ~乱~」にパトリック・スミスとキモを呼んで、そういう意味では石井和義って恐ろしいですね。最初に日本で総合格闘技をやったのはK-1なんです。”禁断の果実”と言ってですね、金網を四角いリングに組んで、1試合目始まる前に「これは名古屋の皆さんへのクリスマスプレゼントです」って言ってたのを覚えてるんですけど、客がドン引きしてたっていう(笑)。キモがわざわざ十字架をアメリカから持ってきて大変なことになってたとかね(笑)。まあ、そんないろんな思い出が詰まったレインボーホールで、このRIZINの1回目の大会をやることができたことを、本当に嬉しく思っています。

 

「素晴らしい試合をみせてくれたってことでいうと村田夏南子ですね!」

榊原 格闘技界が冷え込んだって言われてる中、レインボーホールでやるって言ったら「無謀だ」っていうふうに言われたんですけど、それでもいろいろなスポンサーに入って頂いてトップさん、東海テレビさんなどほか大勢の方々の協力、名古屋の力を今回集結して、非常に会場も盛り上がりました。それと、ご当地のキックボクサーたち。本当に名古屋って、佐藤(嘉洋)君の影響もあるのかもしれないですけど、キックが熱いんですね! 彼らのあの3試合で興行に結構勢いがついて、「今日もいくんかな?」って思ったんですけど、まあ、クリス・バーネット戦ぐらいからかな……「あれっ?」って感じになり、休憩明けのRENAの試合でちょっとおかしいぞ、と思い始め、上3つがあんな感じでしたんで、ボクからすると興行としての出来栄え、試合の内容、作品としては、格闘技の良さがいっぱい詰まった大会だったと思います。お互い格闘技の中のレベルの高い、見所の多い試合でした。ただやっぱり14試合組むっていうことの、興行としての限界というか、美味しいものたくさん食べてToo muchな感じだったのかなあと。これはファンの意見も聞きたいところですけれども。8試合とか10試合では、我々が表現したいものって全部、いまのRIZINの中では表現しきれなくて、今回もいろんな要素を幕の内弁当的に入れると14試合になってしまった。どちらかというと試合数は減らしたいタイプなんですが、まあ興行全体としては、観にきた人たちの満足度はピークに持ってこれなかったのかなあ……という気はしてます。でも、コアなファンは堪能してくれたんじゃないかなと思います。

メインの藤田(和之)選手の試合に関して言うと、目の前で起きていくことが事実でそれが現実だと思いますし、新旧交代になっていくのはあたりまえで。でも、次に「藤田はどうしていくんだろ?」っていうのもまたおもしろいところではあるだろうし。イリー・プロハースカに関しては、ボクが名古屋に入ってから一番トレーニングをする姿を見かけた選手です。レインボーホールに入ってからもずっと黙々とトレーニングしてましたし、今日の朝も彼らが泊まってるホテルに行ったら朝からエレベーターホールでキックミットバンバン蹴ってましたから「どうなってるんだろう?」と思いますけど(笑)。それぐらい気合いも入ってますし意識も高いですね。過去に藤田の試合何試合も観てきましたけど、これは藤田が歳なのか、イリーが強いのか、1発入って2発目の左ストレートで、藤田があそこまで1発で沈む姿はじつは観たことがなくてイリーがひとつ抜けてたなっていう感じですよね。

あとは素晴らしい試合をみせてくれたってことでいうと村田夏南子ですね! 潜在能力の高さ。単純にアマチュアレスリングをやってましたっていう技術だけでRIZINの舞台に上がってきたわけじゃないなと。そこからのいろんな対応能力、そしてジュニア時代に日本でトップも取ってる柔道のバックボーンも含めて、本人も「寝技が得意です」って言ってた片鱗もみせられたし、打撃に関してもそんなに目を瞑ったり避けたり物怖じすることなく、打撃に対しての順応性というか対応力もみせてくれたとこがあるので、とてもここからの伸びしろが期待できる選手だなと思いましたね。あとは逆に吉田沙保里さんなんかが刺激されて、もちろんリオオリンピックの後になりますけど、金メダルをもう1回とって、その金メダル提げてRIZINに上がってきてくれたらねー!(笑)。吉田沙保里vs村田夏南子とかもありえますからね! あと全体的なところでいうと、グラップリングマッチですね。やっぱり幻想があるじゃないですけど、夢があるというか、あの4人が登場してくるだけでワクワクする思いがしました。まあ、ボクはもう一歩勝負論を持って4人がやってくれたらなって思ったんですけど、やっぱりそこがダブルバウトのゲーム性が出るところかなあという気がします。でも新しいチャレンジとしては、非常に違った空気感でおもしろさも提示できたんじゃないかなと。

 

【以下、記者囲み質疑応答】

画像: 【以下、記者囲み質疑応答】

――村田の次戦は考えてますか?

榊原 そうですね。さっき終わって会って、本人も半泣き状態でしたね。本人は悔しかったんだと思いますし、でもよく考えると、5分3ラウンドで15分やれて、いろんなシチュエーション、いろんなバリエーションを総合の中で試すことができたので、ちょうどいい相手だったのかなと思います。「楽勝したぞー!」という試合よりも、打撃の心得もだろうし、15分闘う上での自分の力の入れどころ、最後の方は腕がパンパンでとりにいけなかったって言ってましたからね、やっぱりどこで力を入れて、どこで抜くのか、そういうことも含めて彼女はこの1試合でかなりのことを学んでますから。
なるべく早いタイミングで2試合目を組んであげたいなと思いますし、いまは試合が最大のトレーニングになるんだろうと思いますから、どんどん海外も含めて。5年後にはUFCのベルト巻いてるらしいので。凄い大きな目標なので(笑)、あんまりノロノロしてる時間はないと思うので、そこはしっかり後押ししてあげたいなと思っています。

――ヴァンダレイ・シウバ選手が「桜庭選手と田村選手のシングルマッチを総合で観たい」と言っていたんですけど。

榊原 へえ。お前に言われたくないよって感じですよね(笑)。そういうことに発展できれば、このグラップリングマッチでこのメンバーが顔を合わせたことの意味あったんだと思うし、ファンの声をまず聞きたいですね。それをヴァンダレイが近くで見てそう感じたんであれば、本当に桜庭と田村がまたMMAのルールでっていうことも、それはファンの声に耳を傾けながら、ファンも同じような希望があればあの2人も決してNOではないはずですから。ヴァンダレイvs桜庭だっていいと思いますし、いろんな組み合わせが考えられると思います。ヴァンダレイ・シウバはヒョードルとやりたいって声をあげてますし、ヴァンダレイが戻ってきたくれたことで、RIZINにおいてもいろんな可能性が見えてくるのかなという感じはします。

――吉田沙保里選手が先ほど村田選手と対戦したら……というようなお話をされてましたが、中継のときに吉田選手がポロっと、「総合のだとパンチが怖いけど、グラップリングなら怖くないかも」というようなことを……(笑)。

榊原 言ってましたね! ボクは会うたびに吉田沙保里を口説くことにしてるんです。リオも行って口説いてやろうかなと思って(笑)。応援じゃなくて口説きにいくっていう(笑)。ボクは、アマチュアレスリングの日本の女子、柔道の女子も、男子もそうだと思うんですけど、日本の格闘家、トップアスリートの格闘家たちには総合の世界でチャンスが凄くあるんと思うんですね。ただ、これまでそういうチャンス、そういうレベルの選手たちが挑んでくる舞台が日本の中になかった。当然言葉の壁もある中で、UFCにいきなりチャンス求めていくっていうのはよっぽどの準備というか心構えというか、環境がないと難しいと思うし。そういう意味ではPRIDEがあった時代は言葉の問題もなく時差の問題もなく、日本で世界最高峰の大会があったわけですから。そういう環境に近いものがRIZINの中で作れれば、トップのアマチュア競技の格闘家たちもこの舞台を目指してくれると信じてますので。吉田選手に限らず、アマチュアレスリング界からも、柔道界からも。柔道もこの4月の末には最終のメンバー出揃うと思うんですよね。当然次の東京オリンピックに向けて可能性を各階級で目指すアスリートもいると思うんですけど、中にはリオのチャレンジをもって、柔道の競技人生を引退したりいろいろあると思うんで。これまでの選択肢、吉田とか瀧本とかの世代までは、石井まではあったかもしれないけど、そのあと柔道界からの格闘技転向って断絶してるっていうかね、そういう目指すべき舞台がなくなったことでひとつ止まってるんじゃないかなと思うんで。RIZINがそういう光を放つことで、このリオ後の柔道界からの転向とかチャレンジャーを待ちたいなという気もしてます。

――今日はあんな感じでしたが、青木選手とは今後どういう交渉をされていくのでしょうか?

榊原 そうですね。あんな感じですね(笑)。まあでも、生意気なことを言ってるぶん言ったことの責任は彼は取るべきだと思うんですよね。青木真也は本当に生意気なんで、鼻へし折ってやりたいと思ってますから。なんかいつもギリギリのとこで関わってくるじゃない?(笑)。だから、ごちゃごちゃ言うんだったら、ダロン・クルックシャンクとやってみろよって感じだけどね。2億円とかって言ってんだから、どうやったらそんなお金出てくるんだろうね?(笑)。狂ってる本当……。まあ、言いたいことは山ほどあるんですけど、どうせだったらとことん嫌われるぐらいのものを見せてほしいですね。
今日のダロンと佐々木の試合を観ても、アンディ・サワーvsダロンのが先に見たいよね。ダロンもUFCで13戦もしてるのはダテじゃないよねやっぱり。格が違っちゃったかなっていう感じはしたんで。まあでも、ボクはUFCを追っかけてるわけではないので、UFCからのチャレンジャーっていうよりも、UFCに出てたダロンに興味があったんですね。UFCの中でも、我々が求めるファイトリングスタイルをもってたダロンがたまたまリリースされたんで、声をかけたんですね。だから、これからもUFCファイターだからRIZINに出れるとか、そんな下部組織になる気はまったくないので、本当に興味のある選手には声をかけるけど、そうじゃない選手にはUFCっていう看板があっても声をかけないし、逆にUFCの企画にはまらないそういうダイヤモンドの原石をどんどん日本でファンの皆さんと磨いて世界に送り出していく。世界のトップアスリートとしてここできちっと結果出させていくっていうことになっていくといいかなと思って。まあ、青木にもそういう気があるんだったら、ごちゃごちゃ言わずにやってほしいですね。

This article is a sponsored article by
''.